リードタイムを大幅圧縮。品質保証部が築いた、専門性とセキュリティを両立する翻訳インフラ
自動車部品メーカーとしてグローバルに事業を展開する東プレ株式会社(以下、東プレ)。東プレの品質保証部は、海外拠点を含むグローバルな品質情報を収集し、全社へ正確かつ迅速にフィードバックする中枢機能を担っています。 アメリカ、中国、インド、メキシコ、タイなど、多様な品質文化を持つ海外拠点から届く情報を正確に読み解き、国内外へ展開するために、品質保証部門はいかにして“安全で高精度な翻訳環境”を構築したのか。その取り組みを紹介します。


東プレ株式会社
東京都中央区に本社を置き、1935年の創業以来、高度な「塑性(そせい)加工技術」を核に発展を続けてきた独立系メーカー。「設計・開発から生産までの一貫体制」を強みとし、日本国内および北米、アジアに広がるグローバルネットワークを通じて、自動車用プレス部品をはじめ、定温物流を支える冷凍車や空調機器など幅広い製品を提供しています。
ウェブサイト:https://www.topre.co.jp/
お話を伺った方

東プレ株式会社
品質本部 品質保証部
武藤さん
生成AI活用を検討する中で浮かび上がった、品質保証ならではの翻訳課題
これまで、一般的な翻訳サービスの活用も検討してきた武藤さん。しかし、品質資料には機密性の高い情報が含まれるため、資料の性質やセキュリティ要件によっては、利用条件を慎重に確認する必要も。実務で安全に使える翻訳環境の必要性を強く感じていました。そこで候補に挙がったのが、法人向けの生成AIを活用した翻訳環境。生成AIには大きな可能性がある一方、品質保証のような専門性の高い領域では、実務に適用する際に特有の課題も見えてきました。
品質保証の現場で明らかになった「翻訳業務における3つの課題」と、それらを踏まえてヤラク翻訳を採用するに至った背景に迫ります。
1)専門用語の一貫性を守るために必要だった“用語の完全管理”
品質保証部では、業界特有の専門用語や社内で使われる独自表現が多く存在します。ヤラク翻訳には、用語集やフレーズ集といったナレッジを登録し、翻訳結果に反映させる仕組みが備わっており、登録した用語を一貫した形で出力できます。
「品質保証の資料では、同じ用語が文脈によって変わってしまうと誤解につながる可能性があります。生成AIを活用する場合でも、文脈に応じて表現が変わることがあり、意図しない揺れが生じるケースがありました。翻訳結果を安定させるためには、用語をシステム側でしっかり管理できる仕組みが必要だと感じました」(武藤さん)
2)実務で求められる“ピンポイント修正”を支える編集性
品質保証の資料では、翻訳後に細かな表現を調整する場面が多くあります。ヤラク翻訳は、エディター上で必要な箇所だけを選んで修正できるため、意図した部分をそのまま編集できる点が実務と相性が良いと武藤さんは話します。
「実務では、特定の表現だけを直したいケースが多くあります。生成AIを活用する場合、指示の仕方によっては周辺の文章まで変わることがあり、意図しない修正が入ることもありました。必要な部分だけを確実に調整できる環境があると、実務では非常に助かります」(武藤さん)
3)資料のレイアウトを保ったまま翻訳できる環境の重要性」
品質保証部では、PowerPointやPDFなど、レイアウトが重要になってくる資料を多く扱います。ヤラク翻訳にはファイル翻訳機能があり、資料をアップロードするだけで、元の構成をできる限り保った状態で翻訳結果が出力されます。
「図表や配置が変わらないことが重要です。生成AIを活用する場合、ファイル形式や内容によってはレイアウトが変わることがあり、調整が必要になるケースもありました。ヤラク翻訳では、元の構成を保ったまま翻訳できるため、会議資料としてもスムーズに活用できています」(武藤さん)
専門用語の統一とナレッジの一元管理がもたらす効果
品質保証の世界には、社内で使われる独自の表現や業界特有の専門用語が多く存在します。ヤラク翻訳では、用語集やフレーズ集をシステム内で管理できるため、登録した用語を翻訳結果に反映させ、一貫した表現を維持できます。
「自動車業界では、一般的な表現とは異なる、現場で使われる専門的な言い回しが多く存在します。特定の作業を指す言葉でも、一般的な呼び方と現場での呼び方が異なる場合があり、こうした用語の違いを正しく扱うことが重要になります」(武藤さん)
また、同じ意味を指す用語も業界ごとの慣習によって使用される表現が異なるケースも。
「同じ意味でも、メーカーや仕様によって使われる言葉が異なることがあります。資料に異なる表現が混在すると誤解につながるため、用語集を分けて管理し、資料ごとに適切な表現が使われるようにしています。システム側で用語を管理できることで、誰が翻訳しても一定の品質を保てる点が実務では大きなメリットです」(武藤さん)
厳密さが求められる監査資料と、多言語資料への対応
品質保証部では、品質に関わる重要な社内文書を取り扱い、製品の信頼性向上に向けた情報整理と評価を行っています。これらの文書では、表現のわずかな違いが判断に影響を及ぼすこともあります。そのため、翻訳時には分野や文脈に応じた適切な表現を選ぶことが重要です。
「品質確認に用いる文書では、何を確認するかというポイントが明確である必要があります。分野を指定できることで、資料の意図に合った翻訳結果を得やすくなりました。」(武藤さん)
また、海外拠点から届く資料には、複数の言語が併記されているケースが。品質保証の現場では、現地事情に合わせて複数言語で記載される資料も多く、翻訳時にそれらを正しく扱えることが求められます。
「実務では、複数の言語が同じファイル内に含まれている資料を扱うことがあります。ヤラク翻訳では、こうした多言語の資料も認識し、レイアウトを保ったまま翻訳できるため、業務で扱いやすいと感じています」(武藤さん)

属人化の解消によるリードタイム短縮と、今後の展望
翻訳作業を特定の担当者に依存しない仕組みが整ったことで、業務全体の効率が大きく向上しました。
「以前は、英語に詳しい社内メンバーに翻訳をお願いすることもあり、他業務との兼ね合いで時間がかかることがありました。ヤラク翻訳を導入してからは、必要な資料を自分たちで迅速に翻訳できるようになり、作業時間が大幅に短縮されました。海外拠点との定例会議でも、翻訳済みの資料をスムーズに準備できています」(武藤さん)
今後は、頻出フレーズを「フレーズ登録」として蓄積し、より効率的に翻訳できる環境づくりを進めていく予定です。さらに、使用頻度の高い言語への対応も順次強化するといいます。
「品質保証部では、全社の不具合情報を整理し、展開する役割があります。現場に正確な情報を伝えるためにも、安定した品質で翻訳できる環境は重要だと感じています。」(武藤さん)
実務データに基づく検証が後押しした導入判断と、予算管理のしやすさ
翻訳環境の選定にあたっては、実務で使用している資料を用いて、時間や作業負荷などを丁寧に確認しながら検証を進めた東プレ。導入後の運用を見据えた際、コストの見通しを立てやすい点も重要な判断材料となりました。
「社内で使用している日本語と英語の業務資料を使い、どの程度の時間で翻訳できるか、どのような作業が必要になるかを確認しながら検証を行いました。実務データを使って比較することで、現場に合う翻訳環境を判断しやすくなりました。ヤラク翻訳は定額制で利用できるため、文字数の多い資料を扱う場合でも、予算管理の観点でも運用をイメージしやすかったです。」(武藤さん)
取材後記
品質保証部では、資料の表現がわずかに変わるだけでも、判断や対応に影響することがあります。そのため、翻訳環境には、用語の統一性やセキュリティといった実務上の要件を満たすことが求められます。
近年は法人向けの生成AIを活用する企業も増えていますが、品質保証のように厳密さが求められる領域では、自社のルールや用語を安定して扱える翻訳環境を整えることが重要です。ヤラク翻訳の導入にあたっても、実務データを用いた検証を重ね、自部門の業務に適した仕組みを選び取った点が印象的でした。
東プレ品質保証部が取り組んだ翻訳環境の整備は、グローバルに展開する製造業において、現場のコミュニケーションを支える一つの実践例として参考になる取り組みだと感じます。