一部門集中から全社で翻訳に。ヤラク翻訳が陰で支えるグローバル展開のスピードアップ
中国をはじめ米州、欧州、東南アジアなど世界各地に拠点を持つマブチモーター株式会社(以下、マブチモーター社)では、契約書や社内規程、教育資料、メール等、さまざまな文書が日々、翻訳されています。
法務室の前身となる部門の重要な業務の1つに翻訳業務があり、これに従事していたメンバー(以下総称して、翻訳チームと呼びます)が本社の翻訳業務を一手に引き受けていました。翻訳業務の負荷が高まったことを受け、各部門が自ら翻訳する能力を高め、より迅速で適切な翻訳環境を整備することを目的として、2016年にヤラク翻訳(当時:ヤラクゼン)を導入しました。それ以来、約9年にわたって利用しています。
ヤラク翻訳の長期利用によって、翻訳業務に関わる各部門の「自走化」が進み、マブチモーター社の翻訳効率がアップ。スピード感が求められるグローバル展開を側面から支えています。

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課題
翻訳業務を法務室の前身となる部門が担当しており、グローバル化の加速に伴い業務負荷が高まっていた
翻訳の効率化と正確性の観点から、各部門での翻訳対応が進むことを望む状況にあった
PDFや複雑な資料でのレイアウト再現性や表記揺れにも課題
背景
世界各地に拠点を展開しており、契約書や社内文書など多様な翻訳ニーズが存在
当初は法務室の前身となる部門で集中的に対応していたが、業務量の増大により限界が生じた
解決
2016年にヤラク翻訳を導入し、各部門が適宜翻訳業務に対応する体制を構築
社内全体で同一の翻訳ツールを活用することで、翻訳品質を維持しながら業務効率化と負荷分散を実現
用語集の整備やUI改善、社内周知を通じて、更なる活用を進めている
法務室のお二人にインタビューを実施しました
マブチモーター株式会社 人事・総務本部法務室 本吉直也さん(右)
マブチモーター株式会社 人事・総務本部法務室 イーペル・ベンジャミンさん(左)

背景-海外拠点とのやり取りに欠かせない翻訳
日本発のグローバル企業であるマブチモーター社は、世界各地の拠点と日常的に契約書や規程類などの作成作業があり、多言語展開は欠かせません。
かつては翻訳チームがあり、社内で発生する翻訳業務を集中的に担っていました。しかし、業務量の増加や全社的な翻訳能力の向上等の課題に直面するようになります。
「各部門の業務が拡大し、翻訳のニーズも多様化していきました。翻訳チームに翻訳が集中する状況を変え、各部門で一次対応できる体制を整える必要がありました」
(法務室・本吉さん)
こうした背景のもと、2016年にヤラク翻訳を導入。コストの優位性とセキュリティ要件を両立していることが決め手となりました。

翻訳業務の効率化と分散で翻訳チームの負担軽減と全社体制に
ヤラク翻訳の導入目的はすぐに効果になって現れます。これまで翻訳チームが一手に引き受けていた翻訳を各部門で対応するようになったため、業務の効率化が進み、各部門の対応スピードが改善するなど、事業活動に大きく寄与しました。
また、各部門で翻訳作業が行えるようになり全社的な翻訳効率がアップし、海外拠点とのやり取りもスムーズになりました。
低コストと高いセキュリティの両立が導入の決め手
導入にあたっては、複数の翻訳ツールを比較検討した結果、コストとセキュリティの両面で最もバランスが取れていたヤラク翻訳が採用されました。
他社製品の中には、一定の文字数を超過した場合に追加コストが発生するものがありますが、ヤラク翻訳は追加コストの発生しない料金体系を採用しているため、利用の多い月においても追加コストの負担がなく、会社としてもコスト管理が非常に楽になります。なお、翻訳エンジンによって異なりますが、ヤラク翻訳で一回当たりに翻訳できる文字数は最大15万文字であるため、ボリュームの多い資料も翻訳することができます。
セキュリティ面では、マブチモーター社は製品開発情報や海外グループ会社との契約書など、多種多様な機密情報を扱っているため、高いセキュリティレベルが求められます。もちろん、Google翻訳やDeepL等に機密情報をアップロードすることは禁止されており、ここ数年で導入を加速している生成AIへのファイルのアップロードも制限されています。
こうした高いセキュリティが求められる状況でも、ヤラク翻訳は徹底したセキュリティ管理を行っていることが評価され、マブチモーター社内で正式な翻訳ツールとして位置付けられており、ファイルをアップロードして翻訳する機能も活用されています。
このように、ヤラク翻訳はマブチモーター社のセキュリティポリシーに適合しつつ、翻訳コストの最適化を実現するツールとして長年にわたり活用されています。
英語・中国語を中心に、ベトナム語など多言語対応も拡大
マブチモーター社で主に利用されているのは英語と中国語ですが、近年はベトナム語の利用も増えているといいます。
翻訳対象は契約書、社内規程、教育資料、海外法令、メール等多岐にわたります。母国語でない文書の修正作業を行う際の運用フローは、
①一度日本語または英語に翻訳して内容を確認
↓
②修正案を日本語または英語で作成し再度元の言語に翻訳
↓
③元の言語で表示された修正内容を必要に応じてその言語のネイティブ社員が最終チェック
というプロセスで進めています。
「私はベトナム語を読めないので、翻訳したものをベトナムの拠点に送って、内容をチェックしてもらっています。ヤラク翻訳で出てきた訳文は精度が高く、ほとんど修正せずに使えています」
(法務室・イーペル・ベンジャミンさん)
ヤラク翻訳の大きな特徴の一つは、複数の翻訳エンジンを搭載している点です。エンジンの中には、特定の言語に強みがあるものもあります。翻訳エンジンを使い分けると、得られる翻訳文の品質が上がる可能性があります。
翻訳エンジンについては下記をご覧ください。
コラム:複数の翻訳エンジンを比較- 機械翻訳を活用してより良い訳文に

課題はファイル翻訳のレイアウト崩れと使いこなすこと
ベンジャミンさんが課題に挙げたのは、PDFやドキュメントファイルを翻訳するときにレイアウトが崩れてしまうこと。
「複雑なPDFはそのままでは崩れてしまうので、テキストを抽出して翻訳し、再配置するのが一番確実なんです」(ベンジャミンさん)
アップデートのたびに改善が進んでいるものの、グラフや画像、図などが含まれているファイルのレイアウトを完璧に反映できるようになるまでには至っていません。
また、ヤラク翻訳を「使いこなすこと」自体が課題になっている状況も見えてきました。
具体的には、部署名や固有名詞などの表記にばらつきが生じる「表記揺れ」が発生したり、翻訳のトーンやレベルを設定できるプロンプトの入力が行われていなかったりといった問題があります。
「『法務室』を“Legal Department”と訳さなければいけないのを“Legal Office”と訳す等、表記が揺れることがあります。過去に用語集を整備していましたが、更新が止まってしまっていました。また、ヤラク翻訳のプロンプト入力欄が少し分かりづらく、そもそも指示を入れられる機能があることを知らない社員も多かったと思います。」(ベンジャミンさん)
取材で見えてきたこうした課題に対し、八楽では、定期的にユーザー勉強会を実施しているほか、ヤラク翻訳をより使いこなせるようにカスタマーサクセスチームが個別にフォローアップしていきます。
編集後記
9年という長期利用企業であるマブチモーター社の事例からは、翻訳ツールが社内に定着した後も、機能の使いこなしや運用体制の整備には更なる伸びしろがあることが見えてきました。八楽としても、こうした企業の声に寄り添いながら、より充実したサポート体制を築いていきます。
※本記事は2025年11月時点の情報に基づきます。