業務効率化の一環として、AI翻訳ツールや生成AIの活用が一般的となりました。
一方で、翻訳ツール選定において見落とされがちなのが「セキュリティの考え方」です。
ツール活用やAI活用において、「セキュリティの判断基準」は翻訳担当者や情報システム部門など、部門や立場によって同じ社内でも認識のズレが生じることもあります。
実際の翻訳の対象となるビジネス文書(契約書・社内資料・顧客情報・未公開情報など)には
企業にとって重要なデータが含まれることも多く、ツール選定を誤ると情報漏洩や信頼低下につながるリスクがあります。
実際に、社内で翻訳業務に当たるご担当者からは、
「AI翻訳を使いたい、実際にもう使っているが、本当に安全なのか判断できていない」
「セキュリティ対策が必要だとは思っているが、何から確認すればいいか分からない」
「無料翻訳ツールではなく、生成AIツールでの翻訳も危険なの?」
といった、セキュリティに関するご質問をいただくことも増えています。
本記事では、企業が自動翻訳ツールやAI翻訳を活用する際に「最低限確認すべきセキュリティポイント3点」を 実務目線で解説していきます。
はじめに:なぜ「AI翻訳ツールのセキュリティ判断」は難しいのか【ビジネス利用】

自動翻訳ツールや生成AIツールは、テキストを入力されると翻訳され、Webブラウザでアプリで手軽に使える点など、見た目上や使用感はどれも似ています。
しかしその裏側では、
- データがどのように送信されているか
- 翻訳データが保存されるのか
- 学習データとして利用されるのか
といった点が、ツールごとに大きく異なります。
特に無料ツールや個人向けサービスでは、ビジネス利用を前提とした設計になっていないケースもあり、
利用者側が意識して確認しなければリスクに気づけません。
実際の現場でも、「便利だから使っていたが、データの扱いまでは確認していなかった」ということもあるかもしれません。
【AI翻訳ツール】ビジネス利用で確認すべき3つのセキュリティ観点

1|翻訳データは暗号化されているか(通信の安全性)
翻訳ツールに入力したテキストは、ネットワークを通じてサーバーへ送信されます。
この時に「通信が暗号化されていない」場合、第三者による盗聴や改ざんのリスクが生じます。
▶︎実務上のチェック観点①
- HTTPSなど、通信暗号化が明示されているか
- 翻訳処理の全工程で暗号化が前提になっているか
暗号化の有無は、翻訳ツールを業務で使うかどうかを判断する最初の分岐点です。
2|翻訳データの保存先・管理体制は明確か
翻訳ツールによっては、
翻訳データがどこに保存され、どのように管理されているかが
明示されていない場合があります。
企業利用では、
- データの保存場所(国内/海外)
- 保存期間
- 誰がアクセスできるのか
といった点が不明確な状態は大きなリスクです。
▶︎実務上のチェック観点②
- データ保存ポリシーが公開されているか
- 保存期間や削除条件が明確か
- 管理体制やアクセス制御について説明があるか
中には 「使っている翻訳ツールの保存仕様を説明できない」 という状態で運用されているケースも見られます。
「便利だから使う」ではなく、 管理できるかどうかを基準に判断することが重要です。
3|入力データが二次利用される可能性はないか
無料のAI翻訳ツールでは、入力されたデータが機械学習のために利用されるケースがあります。
これは、各サービスのプライバシーポリシーや利用規約に、入力データの取り扱いや学習利用の有無が明記されており、
プライバシーポリシー内の「データの利用目的」「サービス改善」「機械学習」といった記載を確認することで判断できます。
個人利用であれば問題にならない場合でも、ビジネス文書の翻訳では機密情報や未公開情報が学習に使われることは避けるべきです。
▶︎実務上のチェック観点③
- 翻訳データが学習に使われないことが明示されているか
- 二次利用を行わないポリシーがあるか
「学習に使われるかどうか」は、 翻訳ツール選定時に必ず確認すべき重要項目です。
翻訳ツールのセキュリティ判断【簡易チェックリスト】
| チェック項目 | 確認内容 |
| ① 通信の安全性 | データ送信時に暗号化されているか |
| ② 翻訳データの保存や管理方法 | 翻訳前/後ドキュメントや用語集などのデータの 保存先・保存期間・管理体制が明確か |
| ③ データ二次利用の可能性 | ツールやサービスに学習・再利用されない仕組みか |
この3点が不明確なツールは、業務用途では慎重に検討すべきと考えられます。
もしこのチェック項目について「即答できない」ものがあれば、現在の翻訳運用は見直し余地があるサインかもしれません。
【ポイント①】セキュリティは「翻訳効率」と切り離して考える

ツール選定と導入において、「速い」「安い」「便利」といった要素も重要です。
しかし、AI翻訳ツールの企業利用においては「セキュリティが担保されて初めて、効率化が意味を持つ」という順序で考える必要があります。
セキュリティやデータ管理を重視し適したツールを導入・活用することによって、
安心して現場にAI翻訳を展開できるだけでなく、
社内で活用ルールが明確化されたことによる業務品質の向上、
担当者やマネージャーの心理的負担の軽減など、あらゆる面でポジティブな結果が期待できます。
また、安全な環境を前提にすることで、
- AI翻訳によるスピード向上
- 翻訳メモリによる品質安定
- 翻訳業務の属人化防止
といった翻訳業務の改善が、はじめて持続的に機能します。
そのため近年では、
セキュリティ設計を前提にした「法人利用向けAI翻訳ツール」を選択する企業も増えています。
現場の利便性だけでなく、情報管理やガバナンスの観点からも説明できるツールであるかどうかが、
導入判断の重要なポイントになりつつあります。
【ポイント②】セキュリティリスクを最小限にするための業務設計を
翻訳ツールのセキュリティは、ツール導入の「STEP0」であり、 翻訳業務設計の一部にすぎません。
実際の翻訳業務では、「どのツールを使うか」以上に、
「どの業務プロセスで、どの情報を、どのように扱うか」
を整理できているかどうかが、セキュリティリスクを大きく左右します。
具体的には、
- どの文書をAI翻訳に任せ、どの文書は人が対応するのか
- 翻訳結果に対して、どの工程で人のチェックを入れるのか
- 翻訳済みデータや用語集、翻訳メモリなどの翻訳資産をどこに蓄積し、誰が管理・アクセスできるのか
といった点を明確にすることが重要です。
これらの視点を含めて整理することで、翻訳業務はより安全かつ効率的になります。
翻訳業務を
“個人の判断や慣習に依存した作業” から
“ルールと設計に基づいた業務プロセス” に切り替えることで、
セキュリティと効率性の両立が、はじめて現実的になります。
▶ 関連記事:社内翻訳担当者が押さえるべき「品質・コスト・スピード」の最適解
【まとめ】AI翻訳利用時には「セキュリティ判断基準」を持ちましょう
自動翻訳ツールや生成AIは、正しく使えば強力な業務支援ツールになります。
一方で、セキュリティを軽視すると大きなリスクを抱えることにも繋がる恐れがあります。
まずは、
- 暗号化されているか
- 保存・管理体制が明確か
- 二次利用されないか
この3点を基準に、自社の業務に耐えうる翻訳環境かどうかを判断してみましょう。
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- IPA(情報処理推進機構)|クラウドサービス利用のためのセキュリティチェックリスト
https://www.ipa.go.jp/security/cloud/ - 総務省|クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示指針
https://www.soumu.go.jp/main_content/000395522.pdf - 個人情報保護委員会|AI・ビッグデータと個人情報保護
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- ヤラク翻訳 セキュリティへの取り組み:https://www.yaraku.com/security/
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