ヤラク翻訳ニュースインドネシア語Webサイト翻訳の品質を高める5つのポイント:ネイティブレビューの実例から解説

公開日: 2026/09/17

インドネシア語Webサイト翻訳の品質を高める5つのポイント:ネイティブレビューの実例から解説

インドネシア市場への展開を見据え、英語などからWebサイトを翻訳しようとして、難しさを感じたことはありませんか。言語にはそれぞれ特有のスタイルや規則があり、特定の言語の組み合わせだからこそ起こりやすい誤訳もあります。

私たちも今回、日本語と英語を原文としてWebサイトのテキストをインドネシア語へ翻訳しました。AIを活用し、国際的に用いられている翻訳品質評価のフレームワークに基づいてレビューした訳文を、さらにインドネシア語ネイティブに確認してもらうと、文法的な正誤だけでは判断できない、Webサイト特有の改善点が見つかりました。

この記事ではその実例をもとに、Webサイトをインドネシア語に翻する際に、品質をさらに高めるために意識したい5つのポイントと、学びを次回の翻訳へ生かす方法を紹介します。

1. Webサイト翻訳では「意味」だけでなく「文字列の役割」が重要

Webサイトには、本文以外にも次のような文字列があります。

  • ページタイトルや見出し
  • ボタンやメニュー
  • グラフの軸やラベル
  • 入力欄の説明やエラーメッセージ
  • 原文の役割を示すキーやタグ

こうした短い文字列は、原文だけを見ても用途を判断できないことがあります。Microsoftのローカライズガイドでも、翻訳者が文字列の使用場所や意図を理解できるよう、コメントなどで文脈を提供することが推奨されています。

Googleのグローバル向けスタイルガイドも、翻訳しやすい原文にするため、明確で簡潔な文章、短い文、一貫した用語を使うことを勧めています。

つまり、AI翻訳の結果を改善するには、原文を入力するだけでなく、「どこで、何のために使う文字列か」を伝える必要があります。

2. ネイティブレビューで分かった5つのポイント

以下では、AIを活用して翻訳品質を確認した段階を「AIレビュー後」、その訳文をインドネシア語ネイティブスピーカーが確認・修正した段階を「ネイティブレビュー後」と表記します。

AIレビューには、翻訳品質評価の国際的な枠組みであるMQM(Multidimensional Quality Metrics)を使用しました。

2-1. tidakとjanganは、文章の役割で使い分ける

インドネシア語のtidakとjanganは、どちらも日本語では「~ない」と訳されることがありますが、役割が異なります。

  • tidak:状態や事実の否定
  • jangan:相手に何かをしないよう求める禁止

実際の翻訳記録には、次の例があります。

原文(日本語):データは学習に一切使用されない

補助原文(英語):Never use data for training

ネイティブレビュー後:Data sama sekali tidak digunakan untuk pelatihan

この文言は、ユーザーへ行動を求めるのではなく、「データが学習に使用されることはない」という状態・事実を説明しています。そのため、単純な否定を表すtidakが適切です。補助原文の英語だけを見ると禁止指示にも読めます。このように、言語ごとにズレがある場合があるので、複数の言語を含むファイルを扱う際には「日本語を一次原文とし、英語は追加で文脈が必要な場合の補助原文とする」というように、役割を明示しておくことが重要です。

一方、「このセグメントを翻訳しないでください」のように、ユーザーへ特定の行動をしないよう求める場合は、Jangan terjemahkan segmen ini.のようにjanganを使います。

AIへ翻訳を依頼するときは、「禁止を示す操作文」「サービスの仕様を説明する文」のように用途を添えると、候補を判断しやすくなります。

2-2. グラフの軸は、数ではなく尺度を表していることがある

グラフの軸に対して、AIレビュー後はBanyak/Sedikit、ネイティブレビュー後はTinggi/Rendahが使われました。

Banyak/Sedikitは、量の「多い/少ない」を表します。これに対してTinggi/Rendahは、尺度や水準の「高い/低い」を示す表現です。

今回のグラフは単純な個数ではなく、翻訳量と修正時間の関係における程度を示しています。そのため、ネイティブレビューではTinggi/Rendahへ変更されました。

グラフのラベルを翻訳するときは、次の情報もAIへ渡します。

  • グラフのタイトル
  • 縦軸と横軸が示すもの
  • 数量なのか、程度なのか
  • ラベルが配置される位置(スクリーンショットでも可)
  • 文字数の制限

2-3. 抽出したキーを、原文の役割を示す文脈情報として渡す

今回の翻訳データでは、原文とあわせてh2.section1_titleのようなキーを抽出しています。

このキーはAIに翻訳させるための文章ではなく、原文がWebサイト上でどのような役割を持つかを伝えるための情報です。今回のデータでは、h2は見出し階層、section1_titleは第1セクションのタイトルであることを示します。

原文だけを渡した場合、AIはそれが見出しなのか、本文なのか、ボタンなのかを判断できないことがあります。キーの意味を文脈情報として定義すれば、「見出しとして簡潔にする」「本文と異なる語調を選ぶ」といった判断材料になります。

ただし、キーをそのまま渡すだけでは、AIが命名規則を正しく理解するとは限りません。「h2.section1_titleは第1セクションの第2階層見出しを示す」のように、キーの意味も定義するとより精度が上がると考えられます。

2-4. 見出しでは、短さだけでなく内容との整合性を確認する

見出しの訳文は、AIレビュー後のKurangi waktu perbaikan setelah penerjemahan secara signifikanから、ネイティブレビュー後はWaktu penyuntingan berkurang secara signifikanへ変更されました。

前者は「翻訳後の修正時間を大幅に減らしましょう」という働きかけに近い表現です。後者は「編集時間が大幅に減少する」という結果の説明になっています。

どちらが適切かは、見出しの下にある本文やページ全体の語り口によって変わります。見出しだけを単独で翻訳すると、言語の違いによって長さが伸びてしまったり、テキストが目指す効果がずれてしまう場合があります。

AIへ渡すときは、見出しと直下の本文をセットにし、機能名、効果の説明、操作の指示、CTA、キャッチコピーのどれに該当するかを指定します。

2-5. 長い一文は、意味のまとまりに応じて分ける

次の文章は、ネイティブレビュー後に2文へ分割されました。

Semakin sering digunakan, sistem akan semakin belajar dari hasil penyuntingan Anda. Hasilnya, terjemahan akan semakin sesuai dengan kebutuhan perusahaan dan waktu pasca-penyuntingan dapat berkurang secara signifikan.

この例では、「編集結果から学ぶこと」と、その結果として「企業のニーズに合う翻訳になり、ポストエディット時間が減る可能性があること」を順に説明しています。

どこで一文を区切ったら読みやすいのか、理解しやすいのかも言語によって異なります。意味のまとまりを確認して分割してもよいことをプロンプトに入れるとよいかもしれません。

3. AIへ渡す情報は4つの保存先に分ける

すべての補足情報を一つの長い指示文に詰め込む必要はありません。情報の性質に応じて管理すると、次回以降も再利用しやすくなります。

  • 用語集:製品名、機能名、専門用語など、サイト全体で固定する訳語を登録します。
  • スタイルガイド:敬体、見出しの調子、数字や記号の表記など、サイト全体に共通する文章ルールをまとめます。
  • 翻訳メモリ:定型文や繰り返し登場する説明など、過去に承認された訳文を保存します。Webサイトのスタイルを表現した大事なデータになるので、まったく同じテキストが今後出てくる可能性が低いとしても、データとしての価値はあります。
  • 個別の文字列の文脈情報:h2.section1_titleのようなキー、表示される画面、見出し・ボタン・グラフ軸などの役割、前後の文章、文字数制限、変数やタグの有無を原文ごとに付けます。

特に、用語集だけでは画面上の役割を伝えられません。「この文字列はグラフの縦軸」「この文はボタン」「このキーはH2見出しを示す」といった個別情報も必要です。画面上の役割が重要な場合、WebページのスクリーンショットをAIに渡す方法もあります。

4. 翻訳データを改善する5つの手順

  • 手順1. 原文と文脈情報を整理する
    ユーザーに表示される原文と、キー、タグ、変数、表示位置などの追加情報を分け、それぞれが何を示すか定義します。
  • 手順2. 用語と文章ルールを決める
    製品名、機能名、専門用語の訳を用語集に登録します。あわせて、敬体、見出しの調子、数字、記号などのルールをまとめます。
  • 手順3. AIへ原文と条件を渡して初稿を作る
    複数言語の原文を使う場合は、どれを一次原文とし、どれを文脈補足用の二次原文とするかを明示します。さらに、個別の文字列の役割と表示条件を添えます。
  • 手順4. 翻訳品質の観点と画面上の役割を確認する
    意味の過不足、用語、正確さ、流暢さなどを確認するとともに、見出し、グラフ軸、ボタンなどの役割に合うかを別の観点として確認します。
  • 手順5. 承認した訳文と修正理由を再利用する
    最終訳だけでなく、「なぜ変更したか」も記録します。修正内容は、用語集、スタイルガイド、翻訳メモリ、個別の文字列の文脈情報へ振り分けます。

この循環を作ることで、翻訳のたびに同じ判断をやり直す負担を抑えられます。過去の判断を再利用しながら、会社のブランドアイデンティティに沿った表現を継続的に整えやすくなります。

5. 30秒で確認できる文脈チェック

AIで翻訳を始める前に、次の4点を確認してください。

  • 原文に、未登録の自社特有の用語などが含まれていないか
  • スタイルガイドが原文の機能を網羅しているか
  • 翻訳メモリは最新か
  • 用意した文脈情報は一意にしか読み取れないほどに十分か

これらをすべて達成すると、一次翻訳で目的にあった品質の翻訳を得られる可能性が上がります。

6. AI翻訳だけで完結させないほうがよいケース

次のような文章では、対象言語や対象分野に詳しい人による確認が重要です。

  • 契約、法務、プライバシー、セキュリティに関する文章
  • 誤解が操作ミスにつながるボタンやエラーメッセージ
  • ブランドの印象を左右するトップページや広告文
  • 文化的な受け取られ方が重要な表現
  • 変数やタグを含む文字列

一方、社内で概要を把握するための仮訳など、公開品質を必要としない用途では、簡易的な翻訳で足りる場合もあります。必要な品質とリスクに応じて、人による確認の範囲を決めることが大切です。

7. ヤラク翻訳で翻訳結果を再利用する

ヤラク翻訳には複数の翻訳エンジンの結果を比較でき、プロンプトのカスタマイズや翻訳後の人による編集に特化したUIで操作できます。また、用語集とフレーズ集を使って表現をそろえられます。製品の機能や最新の提供条件については、ヤラク翻訳の製品情報をご確認ください。

カンパニープランについては、14日間無料でトライアルをしていただけます。ぜひこの機会に試してみてください。

また、原文、既存訳、ネイティブレビューの結果などを整理し、AIへ渡しやすい翻訳データを構築したい場合は、「翻訳データ構築サービス」についてご相談ください。詳しい対応範囲は、お問い合わせ後にご案内します。

ヤラク翻訳を含め、翻訳支援ツールを導入する場合も、ツールだけで適切な文脈が自動的に補われるとは限りません。翻訳対象の整理、文脈情報の付与、承認ルールの設計と組み合わせて運用してください。

まとめ

インドネシア語のWebサイト翻訳では、原文の意味が合っているだけでは十分でない場合があります。

  • 否定と禁止は、文章の役割によって表現を使い分ける
  • グラフの軸は、数量か尺度かを確認する
  • 抽出したキーは、その意味を定義して文脈情報として渡す
  • 見出しは、本文との関係や語り口を確認する
  • 長い文章は、因果関係を保ちながら分割する

レビューで得た修正を、その場限りの変更で終わらせず、用語集、スタイルガイド、翻訳メモリ、個別の文字列の文脈情報へ戻すことが重要です。

まずは翻訳対象の一部を選び、「誰に、どの画面で、何を伝える文章か」を添えて翻訳結果を比較してみてください。