Homeニュース海外観光客向け「クマ出没情報」はどう伝えるべきか 〜危機情報の多言語発信をヤラク翻訳で検証〜

公開日: 2025/12/23

海外観光客向け「クマ出没情報」はどう伝えるべきか 〜危機情報の多言語発信をヤラク翻訳で検証〜

近年、自治体や観光関連団体では、
外国人観光客向けの多言語情報発信の重要性が高まっています。

特に、防災・危機情報の分野では、
情報の即時性、誤解を生まない表現の分かりやすさ、継続的に運用できる多言語対応体制といった、
幅広い層に届けるための確実な発信と伝達が強く求められています。

本記事では、その一例として
自治体が発信する「クマ出没情報」を題材に、
危機情報を多言語で発信する際のポイントを、ヤラクの観点から深掘りしていきます。

なぜ「クマ出没情報」は外国人に伝わりにくいのか

クマの出没件数が増加する中、
日本各地の自治体では注意喚起情報が日常的に発信されています。

日本人にとっても、非常に危険な状況が続いているものの、

  • 熊が生息する地域がある
  • 鈴や音で熊を遠ざける文化がある

といった前提知識や最新情報が日々共有されています。

しかし、クマが生息しない国・地域から来た観光客にとっては、なぜ注意が必要なのか、
どんな行動が推奨されているのか、そして自分を守るための「熊鈴」が何を意味するのかさえ、
ニュースや看板をそのまま翻訳された注意書きを読んでも、理解しにくい・伝わらない場合も。

こうした危機情報の多言語化では、単なる言葉の翻訳ではなく
「確実に伝わる表現」への変換が不可欠です。

▶︎日本行くなら「クマに注意」- 各国大使館が観光客に呼びかけ 一人で出歩かず、スプレー携行(日本経済新聞)

ヤラク翻訳で「クマ出没情報」を翻訳・検証した結果

今回は、日本語で作成されたクマ出没に関する注意喚起文のサンプルをもとに、
ヤラク翻訳を使って多言語翻訳を行いました。

【日本語から英語へ翻訳】

では「危機情報発信の外国語翻訳において、特に重要な観点」から、
今回の翻訳結果を検証してみましょう。

1. 即時性(スピード):迅速な情報発信が可能か

ヤラク翻訳では、
日本語の原文を入力してから約数秒で翻訳が完了。

危機情報は、翻訳待ちによる情報停滞が
すなわち発信の遅れ=安全リスクにつながりかねません。

その点、テキスト量に関わらず素早く翻訳結果を得られることは、
迅速な初動対応が求められる情報発信において大きなメリットになり得ます。

2. 安定性(品質の均一化):訳文がブレない仕組み

ヤラク翻訳の特長の一つが、
翻訳結果を翻訳メモリとして蓄積・再利用できる点です。

クマ出没情報や危機情報など、
全体の文書構造が似ている場合や、
日付や場所などリアルタイム情報のみ更新が必要とされる場合は
過去の翻訳結果を蓄積し、自動で再利用できる仕組みが有効です。

その結果、日々変化する情報伝達において
「表現の揺れを防ぐ」「訳文品質を安定させる」ことが可能になり、
受け手の混乱も起きにくくなります。

これは、安全マニュアルや注意喚起文など、
継続的に更新される情報発信において重要なポイントです。

3. コスト効率(費用対効果):翻訳を「資産」として残せるか

翻訳メモリが蓄積されることで、
次回以降の更新時には、元の文書の変更箇所のみの翻訳で済むため、
作業時間・翻訳コストを最小限に抑制することができます。

危機情報の多言語化は、
一度きりの対応ではなく、継続運用が前提です。

そのため、翻訳をその場限りの作業として捉えるのではなく、
「翻訳資産」として蓄積していく発想が重要になります。

4.表現調整(ポストエディット):文化差を埋める工夫ができるか

例えば、日本語の注意喚起でよく使われる「熊鈴」は、
英語では bear bell と訳すことができます。

ただし、
クマが生息しない地域(例:オーストラリアなど)からの観光客にとっては、
bear bell という単語自体がイメージしにくい場合があります。


“bear bell”

a noise-making device such as a bear bell

このように、補足説明を加えるフレーズに変換することで、
行動の意図がより明確に伝わります。

ヤラク翻訳では、このような修正(ポストエディット)を行った表現を
フレーズとして登録することが可能です。

▲ 自動翻訳で結果で”bear bells”と訳された箇所のみ、”a noise-making device such as a bear bell”に書き換え

このように、簡単に翻訳結果を後編集することで、
より洗練された・伝わりやすい翻訳文になります。

さらに、修正したそのフレーズは登録し、
自動翻訳と修正履歴を翻訳ツールに「学習」させることをお勧めします。

登録したフレーズは次回以降の翻訳時に自動で反映されるため、
次回以降は修正が必要なく、文化差を考慮した表現を継続的に使うことが可能になります。

5. 多言語対応:英語以外の言語にも即時展開

昨今、国内では日本語から英語だけでなく、複数言語への翻訳のニーズも高まっています。

日本語→英語と同様

  • 日本語 → 中国語(繁体字)
  • 日本語 → スペイン語

といった翻訳も、同ツール内で短時間で完了しました。

【日本語から中国語(繁体字)へ翻訳】
【日本語 からスペイン語へ翻訳】

訪日外国人の国籍が多様化する中、
一つの情報を多言語へ迅速に展開できる体制は、観光・自治体分野、
また国内のあらゆるビジネスにおいて、重要視されています。

【まとめ】危機情報の多言語化は「仕組み化」の段階へ

クマ出没情報のような命に関わる危機情報には

  • 即時性
  • 分かりやすさ
  • 継続的な運用

等をはじめとする、「命を守るための情報発信」が不可欠です。

翻訳メモリやフレーズ登録といった仕組みを活用することで、
多言語対応は「その場限りの作業」から、蓄積・改善されていく翻訳業務へと進化していきます。

【事例】自治体での多言語発信強化と多文化共生

このような危機や災害情報、また人々の生活や安全に直結する情報の多言語発信はどのように行われているのでしょうか。

多文化共生を掲げる長野県箕輪町では、外国籍住民の数が増加しているだけでなく、
国籍にも変化が見られ、以前と比べて多様な国籍の住民が暮らすようになっています。
地域での外国語支援の日本語教室など、さまざまな取り組みを進める中、
ヤラク翻訳を通じて、多言語対応力強化にも注力されています。

自治体や公共機関が発信する情報は、
住民の生活、安全、そして各種行政手続きに密接に関わるため、
わずかな「意味の違い」も重大な問題につながるリスクがありました。

こうした課題に対し、
長野県箕輪町では「人の工夫とツールの力を組み合わせた多言語対応」で多文化共生の推進に取り組まれています。

導入に至る背景やその狙いなど、ぜひ実際のインタビュー全文をご覧ください。

▶︎命を守る情報を、国籍や言葉の壁を越えてすべての町民に届ける(長野県箕輪町)

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