ビジネスでビデオ会議やチャットでのやり取りが多くなったとはいえ、メールでのやり取りがなくなることはありません。一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2025」では、仕事でメールを使うビジネスパーソンの1日あたりの平均送信数は12.33通、受信数は52.27通にのぼり、送受信にかかる時間は業務時間の約3割(約2時間26分)を占めることがわかりました。(※1)そしてグローバル展開する企業では英文メールでのやりとりが中心になるでしょう。
英語のビジネスメールは日本語のメールの書き方とは異なり、相手に伝わりやすい「型」があります。この記事ではビジネスでも役立つ英文メールの型や、書き方をお伝えします。
※1:ビジネスメール実態調査2025|一般社団法人日本ビジネスメール協会
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この記事の監修者
山田 優(Masaru Yamada)
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士(異文化コミュニケーション学/翻訳通訳学)。フォードモーター社内通訳者、産業翻訳者として活動。その後日本通訳翻訳学会理事と一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事を歴任。 詳しく見る
結論
ビジネス英語メールは、宛名・挨拶・要件・詳細・相手への要求・結びという型を守り、シンプルな文法で要件を簡潔に伝えることが基本です。相手との関係性に応じてフォーマル度を調整し、機密情報を含むメールを翻訳する際は無料翻訳サイトの二次利用リスクに注意しましょう。
この記事の概要
- 英文メールの基本構成(宛名・挨拶・要件・詳細・相手への要求・結び)と、実際の例文
- 件名・文法・表現方法など、ビジネスメールで押さえるべき3つのポイント
- 無料の翻訳サイトでメールを翻訳する際のセキュリティ上の注意点
英語メールの基本の書き方

英文メールは、一般的に以下の構成で書かれます。
- 宛名
- 挨拶
- 要件
- 詳細や理由
- 相手への要求
- 結び
TPO(Time、Place、Occasion)により使う表現は異なりますが、上記の構成を軸にして英文メールを作ると、伝わりやすいメールになります。ではそれぞれの項目で、どのようなことをを書けばいいのか、以下のメールを例にして見ていきましょう。
【英文メール】支払の遅れについて知らせる
Dear Ms. Smith,
Thank you for your letter where you asked us about the payment delay.
We are writing to tell you that there will be a one-week delay in payments.
This is due to Japanese official holiday. We apologize for the delay which was due to circumstances beyond our control.
If you wish not to ship orders to us it will be quite understandable, but we stress that we will be able to pay next week and would appreciate it if you could bear with us till then.
Sincerely,
Yu Onitsuka
スミス様
支払遅延について尋ねるレターをいただきありがとうございました。
お支払いが一週間遅れそうですので、ご連絡をしました。
日本の祝日のためです。
私達の力が及ばず、お支払が遅れてしまい申し訳ありません。
貴社として納品を見合わせたいということは致し方ないことではありますが、来週にはお支払いできるようになりますので、それまで何卒お待ちいただきますようよろしくお願い申し上げます。
敬具
鬼塚 優
宛名
最初の
- Dear Ms. Smith,
(スミスさんへ)
の部分が宛名になります。メールで使う一般的な書き出しであり、ビジネスの場でも適した表現です。「Dear」以外にもいくつか宛名で使える表現があります。
- To the Marketing Manager:宛名が特定の個人ではなく役職や部署名の場合に適しています。
- Hello/Hi Ms. Smith:カジュアルなビジネスのやり取りで、フレンドリーな印象です。
- Good morning / afternoon / evening Ms. Smith:宛名の前にこのような表現を入れてもかまいません。
挨拶
ビジネスメールでの挨拶は相手との関係性に応じて適切な表現を選びます。初対面の相手やフォーマルな状況では、簡潔ながらも丁寧な挨拶を心がけることが大切です。一方で、日常的にやり取りがある同僚などには、カジュアルな表現を用いてもかまいません。
以下の文が最初の挨拶にあたります。
- Thank you for your letter where you asked us about payment delays.
(支払遅延について尋ねるレターをいただきありがとうございました。)
の部分です。
メールの書き始めの挨拶には、
- Thank you for your ~~~. ~~~に感謝します。
- I hope this message finds you well. (お元気でお過ごしでしょうか。)
- It’s a pleasure to meet you. (お会いできて光栄です。 / よろしくお願いします。)
- It’s a pleasure to be in touch. (お会い出来て光栄です。 / よろしくお願いします。)
- I’m / My name is ~~~. (私は / 私の名前は ~~~です。)
などの表現があります。
要件
次に、メールの要件を明確にすることが重要です。読み手がメールの意図をすぐに理解できるよう、冒頭で目的を簡潔に書きましょう。前置きが長くなるのは避け、明瞭に何の要件なのかを伝えることで、効率の良いメールにすることができます。
例文の中で要件を明確にしているのは以下の文です。
- We are writing to tell you that there will be a one-week delay in payments.
(お支払いが一週間遅れそうですので、ご連絡をしました。)
この文は、「支払いが遅れそうなので連絡をした」とメールの目的をはっきりと伝えています。このようにメールの冒頭で要件を明確にすれば、読み手が何を目的としたメールなのかをすぐに判断できます。
要件を伝えたい時の表現として、この他にも
- Regarding ~~~. (~~~に関して)
- I’m reaching out to ~~~. (~~~するためにご連絡しています。)
- This email is to ~~~. (このメールは~~~するためのものです。)
- We need to ~~~.(~~~する必要があります。)
のような書き出しがあります。
要件の詳細
要件を端的に書いたら、次にその詳細を伝えましょう。「支払いが遅れそうな理由は何なのか」「支払いが遅れそうで、どうしたいのか」などを丁寧に説明します。
箇条書きを用いると視覚的にも理解しやすくなりますが、箇条書きを使わない場合でも、ポイントを絞り、詳細をわかりやすく伝えることが大事です。
例文で詳細を伝えているのは以下の文です。
- This is due to the Japanese official holiday.
(これは日本の公式の祝日のためです。)
- We apologize for the delay which was due to circumstances beyond our control.
(私達の力が及ばず、お支払が遅れてしまい申し訳ありません。)
ここでは詳細というよりも遅延の理由を説明していますが、先ほどの「要件」の文よりも詳しく状況を書くことで、相手が遅延の背景を知ることができます。また「We apologize ~~~.」の文では、このメールが謝罪の意を伝えるものであることもわかります。
相手への要求
どんなメールにも「相手への要求」が必要なわけではありませんが、相手に何か行動をしてもらう必要がある場合はそれを端的にお願いしましょう。お願いする文章なのでとても丁寧な表現を使わなければならないと思いがちですが、そうではありません。無理に丁寧な言葉を重ねるのではなく、必要な行動や期限をシンプルに書くことが大事です。礼儀正しくも簡潔な表現を心がけましょう。
以下の文が相手への要求の文です。
- If you wish not to ship orders to us it will be quite understandable, but we stress that we will be able to pay next week and would appreciate it if you could bear with us till then.
(貴社として納品を見合わせたいということは致し方ないことではありますが、来週にはお支払いできるようになりますので、それまで何卒お待ちいただきますようよろしくお願い申し上げます。)
一文が長いですが複雑な文法は使っていません。そして「would appreciate it if you could bear with us till then」の文で「待ってほしい」と要求しています。これにより、読み手は自分がどうすればいいのかがわかり対応できます。
相手に行動を促す際には、以下のような表現が使えます。
- Could you please ~~~? (していただけますか。)
- I would greatly appreciate it if you could ~~~? (していただけると大変ありがたいです。)
- Would it be possible for you to ~~~? (していただくことは可能ですか?)
- We request your assistance in ~~~. (~に、ご協力をお願いします。)
結び
メールを締めくくる結びの表現では、以下のような表現を使います。
- Sincerely,
Yu Onitsuka
(敬具 鬼塚 優)
「Sincerely」 は、締めくくりの挨拶として広く使われており、ビジネスメールでも使える表現です。この他にも結びの表現として以下の表現があります。
- Sincerely,
- Best regards,
- Yours truly,
上記のいずれもフォーマルで改まった表現です。
親しい友人に伝えるときのようなカジュアルな表現は以下になります。
- All the best
- Take care!
- Thanks,
- Have a nice day!
相手の立場や、自分との距離感に合わせて使い分けるといいでしょう。英文メールを書く際は、以上のポイントを踏まえ、簡潔に丁寧に目的を伝えるように心掛けましょう。
ビジネスメールで押さえるべき3つのポイント

ビジネスで英語メールを書く際には、以下の3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 端的で明確な件名
- シンプルな文法の使用
- 相手に合った表現方法
1. 端的で明確な件名
件名はメールの「顔」とも言える部分です。受信者は件名を見てメールの内容を予測し、開封するかどうかを決めます。明確で具体的な件名にしておくと、メールが迅速に処理される可能性が高くなります。
- Notice: Payment delay
(支払い遅延に関するお知らせ)
このように端的な英語で示すことで、件名を見た瞬間に何について書かれているのか読み手が予測できます。
逆に以下のような件名は長く、悪い例です。
- × Important Update Regarding the Delay of Our Previously Scheduled Payment
(予定していた支払遅延に関する重要なお知らせ)
2. シンプルな文法の使用
複雑な文法や専門用語ばかり使うとわかりにくくて難解なメールになってしまいます。中学で習うようなシンプルで読みやすい英文を書くように心掛けましょう。
英語では日本語以上に、シンプルさが好まれます。直接的で理解しやすい表現を使用し、相手にとって読みやすいメールを作成してください。
3. 相手に合った表現方法
メールの読み手の立場や、自分との距離感を意識してTPOに合わせた表現を用いてください。
相手が他の会社の重役ならば宛名で「Dear Mr.~~~」を使ったり、結びで「Sincerely, 」を使うと良いでしょう。
逆に、非常に親しみがある相手ならば「Hi」や「Thanks」などの表現で問題ありません。常に丁寧な表現が良いのではなく、相手に合った表現を選んでメールを書きましょう。
シーン別で使える英文メールの表現
支払遅延以外の場面でも、基本の型を応用すれば対応できます。ここでは実務で頻度の高い「依頼」と「確認・問い合わせ」の2つのシーンで使える表現を紹介します。
依頼のメール
相手に何かを依頼する際は、何を、いつまでにしてほしいのかを明確に伝えることが重要です。
- Could you please send us the updated file by Friday?(金曜日までに最新のファイルを送付していただけますか。)
- We would appreciate it if you could confirm the details by next Monday.(来週月曜日までに詳細をご確認いただければ幸いです。)
期日を具体的に示すと、相手が対応すべきタイミングを判断しやすくなります。
確認・問い合わせのメール
不明な点を確認したい場合は、何について確認したいのかを具体的に書くと、相手が回答しやすくなります。
- Could you clarify whether the shipment includes tax?(発送金額に税が含まれているかご確認いただけますか。)
- Just to confirm, will the meeting be held online or in person?(確認ですが、会議はオンラインですか、対面ですか。)
このように、依頼や確認のメールでも、基本的な型(要件を先に伝え、具体的に依頼する)は共通しています。
翻訳サイトでメールを翻訳する際の注意点
ビジネスの英語メールを日本語に訳して読む際に、無料の翻訳サイトを使う方もいるでしょう。しかし、英文メールを無料の翻訳サイトで訳すのはセキュリティ面でリスクがあります。例えば、Google翻訳などの無料の翻訳サイトは、入力された文章を二次利用する権利を持っています。そしてそれらの文章は、翻訳品質の改善のために用いられる可能性があります。
これはつまり、企業の機密情報や重要な顧客情報が含まれている文章でも、品質改善のために二次利用される可能性があるということです。このような二次利用により、入力した文章が外部に漏れた事例もあります。
参考:
翻訳サイト経由で情報漏洩、「利用禁止」だけでは解決しない|日経クロステック
2015年に発生した無料翻訳ツール「I Love Translation」の情報漏えい事件では、入力された文章が意図せず公開状態になり、行政機関や金融機関の機密情報を含む連絡が外部に流出しました。より詳しい事例は安全な翻訳ツールの選び方とセキュリティ対策でも紹介しています。
翻訳する文章に機密情報や顧客情報などの重要な情報が含まれている場合は、無料の翻訳サイトは使わず、セキュリティが保証された自動翻訳を使うことをオススメします。
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よくある質問
ビジネス英語メールで最も気をつけるべきことは何ですか?
要件を冒頭で簡潔に伝えることです。前置きを長くせず、読み手がメールの目的をすぐに理解できるように書くことで、効率の良いコミュニケーションになります。
英語のメールに日本語のような「いつもお世話になっております」のような挨拶は必要ですか?
必須ではありません。英語のビジネスメールでは、簡潔な挨拶や感謝の一文(Thank you for your ~~~等)を書き出しに使うのが一般的です。
ビジネスメールを無料の翻訳サイトで翻訳しても問題ありませんか?
機密情報や顧客情報を含む場合は注意が必要です。無料の翻訳サイトの中には、入力した文章を翻訳品質の改善のために二次利用する場合があり、情報が意図せず外部に共有される可能性があります。
結びの表現は誰に対しても同じでよいですか?
相手との関係性によって使い分けることをおすすめします。フォーマルな相手には「Sincerely,」や「Best regards,」、親しい相手には「Thanks,」や「Take care!」のような表現が適しています。
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この記事の監修者
山田 優(Masaru Yamada)
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士(異文化コミュニケーション学/翻訳通訳学)。フォードモーター社内通訳者、産業翻訳者として活動。その後日本通訳翻訳学会理事と一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事を歴任。 詳しく見る
この記事の執筆者:Yarakuライティングチーム
八楽株式会社のマーケティングチーム。Google翻訳など複数の翻訳エンジンを毎日使用して、「自動翻訳で正しい翻訳文を出すためには正しい使い方が重要」と考え、それを多くの方に伝えるために情報発信に励んでいる。
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