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公開日: 2024/03/18 | 更新日: 2025/08/21

契約書の翻訳における自動翻訳と人手翻訳を比較

契約書はビジネスにおいて不可欠な文書であり、特に海外との取引が頻繁に行われる場合は、その分契約書のやり取りも増えてきます。従来、契約書の翻訳は翻訳会社に依頼することが一般的でしたが、そのプロセスには高いコストと時間がかかるという課題がありました。

しかし近年では自動翻訳の技術が進化し、活用することで時間とコストの削減が見込めるため、多くの方に利用されています。

本記事では、契約書の翻訳について自動翻訳と人手翻訳のそれぞれを検討し、適性・時間(スピード)・コストの3点を比較していきます。

①自動翻訳は契約書は得意?

自動翻訳にとって、技術や法律などに関する文章構造が明確な文書は、比較的、相性の良い分野ともいえます。これらの文書は専門的な用語や構造が一貫しているため、高い精度が期待できます。とはいえ、数字や固有名詞が正しく反映されているか等、最終的には、専門家である方の目で確認する必要があります。また、最近では、自動翻訳にAI機能を活用しているものもあり、継続的に学習を行うことで精度を向上させる傾向があります。大規模なデータセットを用いた学習によって、翻訳の品質が飛躍的に向上しています。

②自動翻訳のタイパ

自動翻訳の場合、短い文章ならばほぼ瞬時に結果が得られます。文章を入力すればすぐに翻訳されるため、手軽かつ迅速です。大量の文章でも、数分から数時間で処理が完了します。しかし、翻訳の品質には限界があり、特に専門用語や複雑な文脈に対しては精度が低下する傾向があります。また、自動翻訳は完全でない場合もあり、訳抜けや訳語の不統一といったことが発生する場合もあります。機械翻訳の訳をそのまま使えない場合も多くは、自動翻訳の後に人の手による編集をする必要があります。これをポストエディット(後編集)といいます。(ポストエディットの概要についてはこちら。)最近では、修正が必要ないとしても、専門家によって確認をするProfessional Verification(専門家による確認の工程)を要します。

一方、人手翻訳だけで行う場合は、通常は、翻訳会社に翻訳の依頼をし、見積もりから納品までの手続きが必要です。

見積り依頼から納品までは、トータルで数日から数週間かかる場合があります。

翻訳者が1日に翻訳できる量は2,000文字前後が目安だと言われています。翻訳作業は専門の翻訳者が行い、翻訳後には、チェッカーによる校正も行われます。そうすることで、翻訳の精度や流暢さは高くなりますが、納品までに時間がかかるという点があります。特に大量の文書や緊急の場合には対応が遅れる可能性があります。

③コスパの問題

費用に関しては、自動翻訳の方が圧倒的に抑えられます。無料で利用できるサービスもあるため、短い文章や単語の翻訳には特に手軽で便利です。ただし、無料サービスの場合は、サービス側が、提供された文章の二次利用権を有しています。ユーザーにとっては、セキュリティや機密情報等の漏えいのリスクが高まります。

有料サービスの場合は、多くがセキュリティの面も整っている上、より高度な機能や精度の向上が期待でき、有料であるものの人手翻訳に比べるとコストが抑えられます。低コストで大量の文章を翻訳したい場合や、予算が限られている場合には特に有用です。しかし、この場合も、自動翻訳されたものをそのまま使用するのではなく、数字や固有名詞等が合っているか等を含めた専門家による確認が必要になります。

契約書の翻訳コストを削減した事例

株式会社MORESCO

他社の翻訳ツールからヤラク翻訳を導入後、法律や契約書契約書の翻訳にかける時間を1/4に短縮した株式会社MORESCO様の事例をご紹介します。

同社では、ヤラク翻訳導入前の翻訳作業には、ウェブ上で利用が可能な他社の無料翻訳サービスを活用しながら辞書を片手に手作業で進めていました。 海外展開が増えると同時に、各国の規制や契約書の翻訳など文書の種類や量も増え、翻訳に費やす時間が増えていきました。

これまでは手作業で翻訳していましたが、無料翻訳では不十分であり、そのため、高額な外注も検討されました。コストをかけてでも翻訳にかける時間と労力を減らしたいと思いながら他の翻訳ツールを探していたところ、ヤラク翻訳を見つけていただきました。

その後、ヤラク翻訳の導入により、難解な文書も十分な日本語に翻訳され、コストも削減されました。また、ヤラク翻訳は多言語対応なため、仕入れ先が増えてインドネシア語・スペイン語やロシア語等、取引先とのやり取りにも使用されているとのことです。

詳細は下記の記事をご覧ください。

翻訳にかける時間は1/4に短縮精度の高い翻訳により、負担軽減・効率化が図れ、本業務に集中できる 【株式会社MORESCO様】

まとめ

 自動翻訳人手翻訳
適性技術や法律など構造が明確な文書◎表現力・訴求力が求められる文書◎
時間(スピード)処理完了まで数秒から数時間納品まで数日間
コスト

契約書の翻訳における、自動翻訳と人手翻訳の比較を行いました。

自動翻訳の一番大きなメリットは、処理スピードです。人手翻訳では、1日に対応できる量が限られていますが、の場合短時間で大量の文書を翻訳することが可能です。よって、翻訳の業務の効率化を図ることができます。コスト面でも、は短時間で処理ができるため、人手翻訳と比べコストも必然的に安価になります。技術や法律など構造が明確な文書を得意としているため、契約書の翻訳は自動翻訳でも対応できるのではないでしょうか。

この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム

翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。

 

記事の監修者について

氏名 
  山田 優(Masaru Yamada)

現職 
  立教大学 異文化コミュニケーション学部/研究科 教授

学位
  博士(異文化コミュニケーション研究科・立教大学大学院/2012年3月)
  修士(TESOL/言語学・ウエストバージニア大学/1999年5月)

経歴
  フォードモーター社 社内通訳翻訳者
  IT系ローカリゼーション プロジェクトマネジャー
  産業翻訳者・コンサルタントとして独立
  関西大学 外国語学部 教授(2017–2021)
  立教大学 教授(2021年4月–現在)

研究分野
  Empirical Translation Process Research(Empirical TPR)
  翻訳テクノロジー論(CATツール・MTPE・LLMs・GenAI)
  機械翻訳の外国語教育応用(TILT/MTILT)

役職・社会貢献
  株式会社翻訳ラボ 代表
  八楽株式会社 チーフ・エバンジェリスト
  オンラインサロン「翻訳カフェ」主宰
  日本通訳翻訳学会(JAITS)理事 歴任
  一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事歴任

主な著書
  『ChatGPT英語学習術:新AI時代の超独学スキルブック』(単著/アルク)
  『ChatGPT翻訳術:新AI時代の超英語スキルブック』(単著/アルク)
  『英語教育と機械翻訳』(監修/金星堂)
  『自動翻訳大全』(共著/三才ブックス)『Metalanguages for Dissecting Translation Processes』(共編/Routledge)

 


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