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公開日: 2024/06/18 | 更新日: 2025/08/21

Excelの翻訳機能の使い方と高精度に翻訳するコツ

excel 翻訳

 昨今のグローバル化に伴い、企業での多言語による資料作成のニーズが高まっています。多くの企業では、依然としてデータ管理にExcelを活用しているのではないでしょうか。そうした企業にとってExcelの翻訳機能は、グローバルビジネスにおけるコミュニケーションとデータ共有をスムーズにする、便利なサポートツールになります。

本記事では、そんなExcelの翻訳機能について紹介します。しかしながら、利点ばかりではなく、いくつかの課題もあるため、それらについても併せて解説します。

Excelの翻訳機能を使って翻訳する方法

実際にExcelの翻訳機能を使って翻訳する方法をご紹介します。

Excelには、標準で翻訳機能がついています[1]。セル内の文字を指定を希望する言語に翻訳できる機能です。Excel自体がMicrosoftのサービスであるため、翻訳エンジンはMicrosoft Translatorだと思われます[2]。

まずExcelを開き、セルに文字や数字を入力します。

次に「校閲」のメニューを選択します。

すると翻訳ボタンがでてきますのでこちらをクリックします。

原文(翻訳した文)のセルを選択した状態で、翻訳ボタンをクリックすると、画面右に「翻訳ツール」と書かれたメニューが出てきます。

原文と翻訳文(翻訳後の文章)の言語を選択します。英語以外にもフランス語や中国語などの言語も選択できます。

「翻訳元の言語」と「翻訳先の言語」内のボックスで、文字にカーソルを合わせると言葉がどのように訳されているかを確認できます。昨日機能を使いながら、翻訳文のチェックをしていきましょう。

カーソルを合わせた文字について、その意味について知りたい場合や、他の言い換えの有無はさらに下の箇所で確認できます。ここを参考にしながら、使われている表現が適切かどうかを確認できます。

原文の複数のセルを選択すると、このように一つのボックス内で選択した全ての文章が翻訳されます。

翻訳した文章は「翻訳先の言語」に表示されますが、それをセルに挿入するためには、コピー&ペーストしなければなりません。しかも、複数セルの文章を翻訳した場合、翻訳文がセルごとに表示されるのではなく、ひとまとまりになって出力されます。

入力の手間はかかってしまいますが、翻訳文を一つ一つセルに入れていきましょう。

また「翻訳先の言語」に出力されている翻訳文は、この箇所で編集・修正できません。編集・修正する際も一度セルに挿入してから、適切な文になるよう編集しましょう。

翻訳機能を使う上での3つの問題点

Excelには翻訳機能が搭載されており、シートやブックを簡単に多言語化できる便利な機能です。しかし一方で、以下の3つの課題があり、注意も必要です。

1. 翻訳品質のばらつき

Excelに付いている翻訳機能の翻訳エンジンはMicrosoftが提供する翻訳エンジンが使用されています。このエンジンはIT分野の用語や表現に強みがあるため、テクニカルな内容のデータであれば比較的高い翻訳品質が期待できます。しかし、一般的な事務文書や営業資料、マーケティング資料など、IT用語を多く使わないドキュメントの場合は、誤訳や訳抜けが目立ちがちです。この対応策として、Excel内の翻訳機能に頼らず、他の翻訳エンジンを使って翻訳するのも一つの方法です。

2. 翻訳ミスの見落とし

自動翻訳を使う以上完璧な翻訳はなく、誤訳や文脈の違いによる訳抜けは必ず発生するものです。ビジネスデータの正確な理解が重要な場面で、これらの翻訳ミスを見落とすと、業務に大きな影響を及ぼす可能性があります。外国語に不慣れな人は翻訳の適切さを判断できず、バイリンガルスタッフでも翻訳ミスに気づきにくい場合があります。

3. 固有名詞・専門用語の誤訳

Excelの翻訳エンジンには、専門用語や固有名詞を登録して正確に翻訳する機能がありません。そのため、製品名や会社名といった固有名詞や、専門用語が一般的な訳語に置き換えられてしまう可能性があります。特に業界特有の専門用語は、Excelの標準的な翻訳エンジンでは正確に翻訳できないことが多く、その翻訳結果に依存すると社内外でのコミュニケーションに問題が生じる可能性があります。

以上がExcelの翻訳機能の課題点でした。これらの課題を解決する方策が見つかれば、Excelをグローバル対応でより効果的に活用しやすくなるはずです。

無料オンラインツールやPCアプリを使う際の注意点

ビジネスにおいては、重要な情報や機密データの取り扱いには十分な注意が必要です。

特に、Excelは多くの企業で重要なデータの管理ツールとして活用されています。

そうした機密性の高いデータを無料のオンラインツールやPCアプリで翻訳する際には、情報漏洩のリスクがあることを認識しておく必要があります。

過去には、無料の翻訳ツールに入力された情報が第三者に公開された事例も報告されています[3][5]。

無料のオンラインサービスやアプリは便利ですが、データの取り扱い方やセキュリティ対策が不透明な場合が多く、機密データが外部に漏れるおそれがあります。重要な企業データが外部に漏れると、競争力の低下や法的リスクなど、企業に重大な被害が及ぶ可能性があります。

そのため、セキュリティが担保されている翻訳ツールを使用することが重要です。

Excel翻訳の課題を解決する4つの方法

ビジネスユースでExcelを使用している際に直面する翻訳上の問題についてご紹介しました。

企業情報の漏洩や翻訳の不正確性は、企業の信頼性を損なうだけでなく、場合によっては法的なトラブルにまで発展しかねません。

このような課題を解決するのが、進化型CATツール「ヤラク翻訳」です。ヤラク翻訳は、セキュリティがしっかり担保されている上、従来の自動翻訳ツールにはない機能をそなえ、企業の翻訳業務をより改善することができます。

①複数の翻訳エンジンを搭載

ヤラク翻訳の強みは、多様な翻訳エンジンを一つのプラットフォームで使い分けられる点です。ChatGPTを始め、Claude、Google翻訳、Microsoft Translator、Papago、Yaraku翻訳、オプションで「みんなの自動翻訳@KI」も利用可能です。

各翻訳エンジンには得意分野があり、用途に応じて最適なエンジンを選ぶことで、高品質な翻訳ができます。たとえば、Google翻訳は契約書やマニュアルに強く、Microsoft TranslatorはIT関連の文書に特化しています。PapagoとYaraku 翻訳はシンプルで明確な訳文を提供し、ChatGPTは自然な言語表現に優れています。

各エンジンを使い分けることによりにより、他の翻訳サービスにはない高品質な翻訳を実現できます。

②チェックアシスタント機能

check assistant

ヤラク翻訳にはチェックアシスタント機能が備わっており、英語が得意でない方でもスムーズに編集ができます。自動翻訳の結果を見てもどこを修正すればいいか分からない場合でも、AIが自動で問題点を指摘し、修正が必要な部分を明確に表示します。これにより、誰でも簡単に修正作業を行うことが可能になります。

また、ヤラク翻訳は、ドキュメントの元のレイアウトを保持したまま翻訳を行い、カーソルを合わせると翻訳前(英語)と翻訳後(日本語)の文章を並べて確認でき、翻訳後の文書はExcelで出力が可能です。

③用語集・フレーズ集の活用

vocab

ヤラク翻訳では、用語やフレーズを登録して翻訳の精度を向上させる機能があります。特定の用語やフレーズが出現した際には、それらを用語集に追加したり、事前に指定した翻訳を自動的に適用することができます。

例えば、法律、金融、技術、マーケティングなどの各業界で使用される専門用語や固有名詞を事前に登録しておくことで、その業界特有の専門的な文章も正確に翻訳できます。これにより、業界固有のニュアンスや細かなニュアンスも失われることなく翻訳が行われます。また、用語やフレーズの登録は非常に簡単で、ユーザーが一度登録すれば次回からは自動的に学習した用語が使用されるため、作業の効率化にもつながります。

④セキュリティに関して

機密情報や個人情報を含む翻訳文書には、セキュリティが確保された有料の翻訳ツールを利用することをおすすめします。ヤラク翻訳の企業プランでは、翻訳された文章を二次利用せず、安心して自動翻訳を利用できます[4]。

ヤラク翻訳では、SSL暗号化、24時間365日のシステム監視、脆弱性テスト、ファイアウォールなどの対策を講じています。また、ISO/IEC 27001:2013の認証を取得し、プライベートクラウドでデータ管理を行っています。

これにより、ヤラク翻訳は機密情報や個人情報を含む文書の安全な翻訳環境を提供します。

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まとめ

Excelの翻訳機能は便利な一方で、翻訳をこのツール一本に頼るには限界があります。翻訳の質を確保するには、人的な確認と校正が不可欠です。また、誤訳や専門用語の扱いにも課題があります。

このように、Excelの翻訳機能には長所と短所の両面があります。利点を最大限に活かしつつ、課題についても十分に理解し、しっかりとしたセキュリティ対策をし、上手にビジネスに活かしていきましょう。

進化型CATツール「ヤラク翻訳」では、翻訳した後の文章を複数の翻訳エンジンで翻訳比較することが可能です。各翻訳エンジンとは個別に契約を結んでおり、翻訳にかけた文章が二次利用されることはありません。

この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム

翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。

参考文献

[1] Microsoft Corporation (n.d.). 「別の言語にテキストを翻訳する」. アクセス日: 2025‑08‑09. https://support.microsoft.com/ja-jp/office/%E5%88%A5%E3%81%AE%E8%A8%80%E8%AA%9E%E3%81%AB%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%92%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E3%81%99%E3%82%8B-287380e4-a56c-48a1-9977-f2dca89ce93f (Office/Excel/PowerPoint の翻訳手順の一次情報)。  

[2] Microsoft Corporation (n.d.). “Office – Microsoft Translator for Business (No‑Trace)”. アクセス日: 2025‑08‑09. https://www.microsoft.com/en-us/translator/business/office/ (Office の翻訳は既定で no‑trace:保存・学習に不使用)。  

[3] IPA(独立行政法人情報処理推進機構)(2024). 「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」. アクセス日: 2025‑08‑09. https://www.ipa.go.jp/jinzai/ics/core_human_resource/final_project/2024/f55m8k0000003spo-att/f55m8k0000003svn.pdf (外部AI/外部サービス利用時の機密データ取り扱い注意を明示)。  

[4] Microsoft Learn (2025). “Data, privacy, and security for Azure AI Translator”. アクセス日: 2025‑08‑09. https://learn.microsoft.com/en-us/azure/ai-foundry/responsible-ai/translator/data-privacy-security (no‑trace/データ非保持の技術的説明)。  

[5] 日経新聞 (2017). 「翻訳サイト経由で情報漏洩、『利用禁止』だけでは解決しない」. 2025-08-09アクセス. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22507480Z21C17A0EA1000/

 

記事の監修者について

氏名 
  山田 優(Masaru Yamada)

現職 
  立教大学 異文化コミュニケーション学部/研究科 教授

学位
  博士(異文化コミュニケーション研究科・立教大学大学院/2012年3月)
  修士(TESOL/言語学・ウエストバージニア大学/1999年5月)

経歴
  フォードモーター社 社内通訳翻訳者
  IT系ローカリゼーション プロジェクトマネジャー
  産業翻訳者・コンサルタントとして独立
  関西大学 外国語学部 教授(2017–2021)
  立教大学 教授(2021年4月–現在)

研究分野
  Empirical Translation Process Research(Empirical TPR)
  翻訳テクノロジー論(CATツール・MTPE・LLMs・GenAI)
  機械翻訳の外国語教育応用(TILT/MTILT)

役職・社会貢献
  株式会社翻訳ラボ 代表
  八楽株式会社 チーフ・エバンジェリスト
  オンラインサロン「翻訳カフェ」主宰
  日本通訳翻訳学会(JAITS)理事 歴任
  一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事歴任

主な著書
  『ChatGPT英語学習術:新AI時代の超独学スキルブック』(単著/アルク)
  『ChatGPT翻訳術:新AI時代の超英語スキルブック』(単著/アルク)
  『英語教育と機械翻訳』(監修/金星堂)
  『自動翻訳大全』(共著/三才ブックス)『Metalanguages for Dissecting Translation Processes』(共編/Routledge)