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公開日: 2025/04/08

インバウンド対策の鍵はメニュー翻訳!外国人に伝わる表現とは?

メニュー 翻訳

近年、日本を訪れる外国人観光客の数は年々増加しています。観光庁が公表している統計データによると、ここ数年のインバウンド需要は右肩上がりで推移しており、これからも訪日外国人が増えていくことが期待されています。

そうした状況下で、飲食店のメニューを多言語化して外国人にわかりやすく提供することの重要性が高まってきました。英語や中国語など、海外のお客様が理解しやすい言語でメニューを整備することで「どんな料理なのか」が正確に伝わり、スムーズな注文や満足度の向上につながります。

本記事では、メニューを翻訳する必要性とメリット、具体的な翻訳方法の種類、そしてポストエディット(後編集)を活用したメニュー翻訳の進め方について解説していきます。外国人観光客へのおもてなしを強化し、店舗の評判や売上向上を目指す方はぜひ参考にしてみてください。

メニュー翻訳の必要性とメリット

外国人観光客は日本の食文化に大変興味を持っていることが多いですが、問題になるのが言語の壁です。日本語のメニューが読めず、どんな料理なのかがわからない状態でオーダーするのは不安が伴います。そのため、メニュー翻訳は単に言語を置き換えるだけでなく、観光客の満足度を左右する重要なポイントになっています。

まず、メニューを多言語化することでお店側が得られる効果としては、以下のようなものが挙げられます。

・誤解を防ぎ、料理の特徴を正確に理解してもらえることでクレームが減り、リピーター獲得が期待できる

・外国人観光客が多いエリアや、旅行ガイドブックで紹介されるような店舗の場合、多言語メニューが整備されていることで口コミ評価が高まり、さらなる集客アップを狙うことが可能

・飲食店が対応を整えることで「外国人歓迎」というポジティブな印象を与え、お店全体のブランド価値を高められる

特に日本の食文化は海外でも高い評価を受けており、「日本の味を海外の人にも楽しんでほしい」と考える飲食店オーナーは多いでしょう。そうした思いを現実化するためにも、メニュー翻訳は欠かせない取り組みといえます。

メニューを翻訳する際の注意点

多言語メニューを導入する上で重要なのは、外国人観光客がメニューを見て「どのような料理か」「どんな味や特徴があるのか」をイメージしやすい表記にすることです。機械翻訳だけに頼ると大意は伝わっても、料理の背景や細かな味付けが誤解される場合があります。そこで、機械翻訳の訳文をポストエディットで補足することで、注文時のトラブルを大幅に減らすことが可能です。

例えば、焼き鳥を提供している居酒屋で英語メニューに「Yakitori」とだけ記載すると、どの部位が使われているのか曖昧で、海外のお客様にとっては「肉のどの部位を食べるのか」わかりにくいケースがあります。特に、人によっては内臓系好まない方もいるので、きちんと訳してあげることが親切です。

そこで、

「Grilled Chicken Skewers(with various parts such as thigh, breast, etc.)」
訳:焼き鳥(もも肉やむね肉など、さまざまな部位を使用)

と説明を加えれば、部位の違いや調理法が具体的に伝わり、安心感を与えられます。

また、お寿司店など魚がメインの料理を提供する場合は、写真と一緒に英語名・日本語名の両方を併記すると「どの魚で、どんな味がするのか」が直感的に理解しやすくなります。さらに、ポストエディットで魚種名や味わいのポイントを補足すれば、「食べたことのない魚でも試してみたい」という意欲を引き出しやすくなります。このように、メニュー翻訳の際は単なる文字の置き換えで終わらせず、海外の方の視点で情報を分かりやすく盛り込むことが大切です。

メニュー翻訳の方法

メニュー翻訳の方法は大きく分けて「自動翻訳ツールの活用」「専門翻訳サービスの利用」「機械翻訳+人手を組み合わせた翻訳」という3つのパターンがあります。それぞれの特徴を理解し、店舗の規模や予算、翻訳精度への要求度合いに合わせて選択していくと良いでしょう。

自動翻訳ツールの活用

昨今は翻訳エンジンの性能が向上しており、Google翻訳などといったサービスは短文なら比較的正確な訳を得られるようになっています。無料で使えるため、費用を抑えたい場合に適しています。

ただし、翻訳の品質は元の文章の書き方や料理名などの固有名詞に左右され、直訳や誤訳が発生しがちです。日本特有の食材名や調理法をそのまま自動翻訳すると意味不明な表現になることもあるため、注意が必要です。

専門翻訳サービスの利用

プロの翻訳者や翻訳会社に依頼する方法です。様々な言語ペアを取り扱っているサービスが多数存在します。コストは自動翻訳ツールを使用する場合より高くなりますが、専門知識を持つ翻訳者が対応するため、料理名や食材名のニュアンスが正しく伝わりやすく、文化的背景も踏まえた的確な翻訳が可能です。店舗の看板メニューや独自の料理コンセプトを丁寧に表現したいときに適しています。

機械翻訳+人手を組み合わせたハイブリッド翻訳

機械翻訳を下訳として活用し、最終的に人間の翻訳者が校正・修正を行う手法をポストエディット(後編集)といいます。自動翻訳ツールで下訳を作ることで翻訳の作業時間を短縮しつつ、誤訳や不自然な表現を最終的に取り除くことができるため、費用対効果に優れた選択肢といえます。特にメニューのように文字量が限られた文書の場合、効率よく品質の高い多言語メニューを作成できる可能性が高まります。

ポストエディットとは

ポストエディットとは、機械翻訳(MT: Machine Translation)によって自動生成された訳文を、人間の翻訳者や校正者がチェックし修正して最終的な翻訳を仕上げる工程のことを指します。近年、機械翻訳の性能は飛躍的に進歩しており、ニューラルネットワークを活用した高度な翻訳エンジンが普及しています。しかし、料理名や各国特有の食材、調理法などについては、文脈や文化的背景を適切に反映できないケースも多いです。

そのため、機械翻訳の訳出結果をそのまま用いると「何となく合っていそうで、実は誤訳している」という問題が起きるリスクがあります。しかし、ポストエディットを挟むことで、そうした機械翻訳の弱点をカバーし、自然で正確な文章に仕上げることができます。機械翻訳が得意とする「大量のテキストを素早く翻訳する」という長所と、人間の翻訳者が持つ「文脈に即した柔軟な表現力」の両方を取り入れられる点が大きなメリットです。

メニュー翻訳におけるポストエディットの実践

ここでは、実際にメニュー翻訳をする際にポストエディットをどのように導入すれば良いのか、その流れや注意点を詳しく解説します。

機械翻訳で一度に大量のメニュー文言を翻訳し、まずは大まかな訳を完成させます。その訳文をベースに、人間の翻訳者やスタッフが不自然な表現や誤訳を修正していきます。この工程では特に料理名や食材名の確認に力を入れるのが重要です。日本独自の料理名の場合、直訳しても海外の方に伝わらない可能性が高いため、料理の特徴や味付けを説明的に書き下すなどの工夫が必要になることもあります。

例えば、居酒屋などで提供される「お通し」は日本独自の習慣ですので、そのまま直訳しても海外の方には意味が伝わりにくいでしょう。(「席料として提供される前菜」といった説明を付け加えることで誤解を防ぎ、サービスの内容をわかりやすく伝えられます。こうした文化的背景や習慣の説明は、機械翻訳だけではカバーしにくい部分です。ポストエディットで細かいニュアンスを補足し、自然な表現になるよう心がけることが大切です。

また、翻訳した内容をネイティブの英語話者にチェックしてもらうことができれば、表現の精度はさらに高まります。もしコストや体制の都合で難しい場合には、複数のバイリンガルスタッフの間でが相互チェックを行ったり、日常的に海外の文化に触れているスタッフの意見を取り入れるなどの工夫でもある程度の品質向上が期待できるでしょう。

ヤラク翻訳で翻訳品質をさらに高める

ポストエディットを効率よく実行するために、機械翻訳と人手編集を組み合わせられるプラットフォームを活用する方法もあります。その一例として「ヤラク翻訳」が挙げられます。ヤラク翻訳は複数の翻訳エンジンを標準搭載しており、翻訳する文書の種類や目的に合わせて最適なエンジンを選択できる仕組みです。

また、翻訳後の文章をチェック・修正しやすい直感的なUIを備えており、並列ビューで原文と訳文を見比べながら編集を進められます。ファイル翻訳の場合もプレビュー画面を参照しながら修正できるため、短時間で正確な訳文に仕上げることが可能です。

無料の自動翻訳で懸念される情報漏えいのリスクにも配慮しており、アカウントごとに翻訳データが管理されます。

このため、機密性の高い文書でも安心して翻訳作業を行うことができます。さらに、用語集やフレーズ集を作成・共有できる機能を活用すれば、専門用語や固有名詞の統一を図りながら、翻訳の精度とスピードを同時に向上させられるでしょう。

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最後に

訪日外国人観光客の増加に伴い、多言語に対応したメニューの整備は飲食店の大きな課題の一つになっています。メニューを翻訳しないままだと「そもそも何が提供されているのか分からない」という問題が生じ、外国人観光客が注文に困るだけでなく、お店側としても大きな機会損失になりかねません。

メニュー翻訳の方法としては、コストを抑えて簡易的に実施できる自動翻訳ツールから、プロに依頼して高品質の翻訳を得る専門翻訳サービス、そして両者のメリットを組み合わせるポストエディットがあります。特にポストエディットは、多言語対応のメニューを効率よく作るうえで非常に有効な手段です。機械翻訳に任せきりにせず、人間の目でチェック・修正を行うことで自然で正確な表現を得られます。

今後も訪日外国人観光客の増加傾向が見込まれる中、メニュー翻訳に力を入れることはお店のイメージアップや売上アップにも直結します。日本ならではの美味しさやおもてなしを、適切に翻訳されたメニューを通じて世界の人々に知ってもらいましょう。そうすることで、海外からのお客様が安心して料理を楽しみ、日本の食文化をより深く理解してくれるはずです。

コピペでそのまま使える【必見!】日本独自の飲食文化の翻訳リスト

メニューを翻訳するときに「これ、どう伝えればいいの?」と悩みがちな表現をまとめました。
よろしければ、お店の翻訳作業にご活用ください!

日本語の表現・文化解説(文化的背景)英語での説明・翻訳例
お通し席料として自動的に出される小皿料理(前菜)Appetizer served as part of the table charge
食べ放題一定料金で制限時間内に好きなだけ食べられるシステムAll-you-can-eat (buffet-style, within time limit)
飲み放題一定料金でお酒が飲み放題(時間制)All-you-can-drink (alcoholic beverages, time-limited)
定食メイン+ご飯・味噌汁・小鉢などがセットになった和食プレートSet meal with rice, miso soup, and side dishes
おかわり自由ご飯や味噌汁などが無料で何度でももらえるFree refills available (for rice, miso soup, etc.)
焼き鳥の部位部位の名称が文化的に馴染みづらい(例:ぼんじり、せせり、軟骨など)Specify: Chicken tail, neck meat, cartilage, etc.
味の表現(“さっぱり”“こってり”)味の濃さ・油っぽさを表す日本独特の感覚Light flavor / Rich and savory flavor
会計時の割り勘支払いを人数で均等に割る文化。海外ではチップ文化が強い国も多いBill is split equally among the group (no tipping in Japan)
チャージ料席代・サービス料が加算される場合ありTable charge may apply (customary in some restaurants)
鍋料理テーブルで煮て食べるスタイルの日本の料理Hot pot dish cooked at the table, shared with the group

 

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この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム

翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。


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