はじめに
ビジネスでもプライベートでも、日々扱うデータの量は増え続けています。文書、写真、動画、業務ファイルなど、これらのデータを安全かつ効率的に管理する手段として、クラウドストレージは今や欠かせない存在となりました。特にテレワークやモバイルワークが一般化するなか、「いつでも、どこでも、どの端末からでもアクセスできる」という柔軟性は、多くのユーザーにとって大きな魅力です。
本記事では、クラウドストレージとは何かという基本から、導入時に知っておきたいメリット・デメリット、サービス選びのポイント、さらには2025年現在の最新トレンドまでを解説します。
クラウドストレージとは
クラウドストレージとは、インターネット上のサーバーを利用して、ファイルや画像、動画、ドキュメントなどのデータを保存・管理・共有できるサービスのことです。従来はパソコンや外付けハードディスクなどにローカル保存していたデータを、インターネット環境さえあれば、いつでも・どこからでもアクセスできるようにした仕組みです。
この「どこからでもアクセスできる」という利便性が、多くの個人や企業に選ばれている理由のひとつです。自宅やオフィスはもちろん、外出先のスマートフォンやタブレットからも同じデータにアクセスできるため、データ管理の手間が省け、USBなどの物理的な持ち運びに伴うリスクも減らせます。
クラウドストレージのメリット・デメリット
クラウドストレージを導入するにあたっては、そのメリットとデメリットを理解しておくことが重要です。ここでは代表的な例を紹介します。
メリット
- どこからでもアクセス可能
インターネット接続環境さえあればPC・スマホ・タブレットなど、あらゆる端末からアクセスできます。 - データのバックアップが容易
万が一端末が故障しても、クラウド上にデータを保存していれば安全に復元が可能です。 - 複数ユーザーでの共有が簡単
ファイル共有リンクを送るだけで、社内外を問わずスムーズにデータを共有できます。 - 容量拡張が容易
有料プランにアップグレードすれば、物理的なハードディスクを追加購入する手間なく大容量を確保できます。
デメリット
一方で、下記のようなデメリットも考えられます。
- インターネット環境に依存する
ネットが不安定な環境だと、スムーズにデータにアクセスできないことがあります。 - 情報漏えいリスク
セキュリティがしっかりしたサービスを選ばなければ、外部から不正アクセスを受けるリスクもゼロではありません。 - 利用コスト
無料プランには容量や機能の制限があり、本格的に使う場合は有料プランが必要となります。
クラウドストレージの選び方
クラウドストレージを選定する際には、まず「自分が何を重視するのか」を明確にするのがおすすめです。個人利用か法人利用かによっても必要な条件が異なってきます。
個人利用の主な選定基準
写真や動画の保存がメインなら大容量・安価なプランが有利です。また、スマホアプリとの連携のしやすさやバックアップ機能も重要なポイントになります。
法人利用の主な選定基準
セキュリティ対策やアクセス制限機能、チームや組織でのファイル共有のしやすさ、監査ログの管理などが求められます。さらに、日本語サポートの有無や導入サポートの充実度なども確認するとよいでしょう。
目的別おすすめクラウドストレージ早見ガイド【2025年版】
クラウドストレージ市場は日々進化しており、同じような機能を提供していても、細部の使い勝手や料金プラン、サポート体制には大きな差があります。ここでは代表的なサービスを紹介します。
利用目的 | おすすめサービス | 特徴・おすすめ理由 |
コストをかけずに使いたい | Google Drive | ・15GBの無料容量が提供されており、アカウント登録するだけですぐ利用可能。 ・Googleドキュメントやスプレッドシートなど、オフィスツールとの親和性が抜群。 ・スマホアプリも使いやすく、初めてのクラウド利用にも適している。 |
スマホの写真や動画を安全にバックアップしたい | iCloud | ・iPhone/iPadとの自動連携機能が強力。 ・「写真」アプリとの同期により、デバイスを変えてもシームレスに写真にアクセス可能。 ・バックアップ対象のアプリやデータも柔軟に選択でき、Appleユーザーなら最も相性が良い。 |
チームでのファイル共有や共同作業が多い | Dropbox | ・同期スピードが非常に速く、ファイル更新の反映もリアルタイム。 ・SlackやZoom、Google Workspaceなど連携できる外部ツールが豊富。 ・コメント機能や通知設定もあり、コラボレーションが円滑に進められる。 |
情報管理・ガバナンスを重視する法人 | Box | ・ユーザーごとのアクセス権限管理、監査ログ取得、デバイス制限など、セキュリティが非常に強力。 ・外部共有の制限やリンク有効期限設定なども可能で、情報漏えい対策が万全 ・日本語サポートや国内データセンターオプションもあり、法令対応が求められる企業にも◎。 |
ドキュメントの共同編集・クラウドオフィスとの統合を重視 | OneDrive | ・Microsoft 365と完全統合。 ・Word・Excel・PowerPointなどのファイルを複数人でリアルタイム編集できる。 ・Windows PCとの親和性が高く、ビジネス用途に最適。 |
クラウドストレージのセキュリティ対策:企業利用で確認すべき4つのポイント
クラウドストレージの活用が進む一方で、最も懸念されるのが「セキュリティ」です。便利さやコストだけで選ぶと、情報漏えいや不正アクセスといった重大なリスクにつながる可能性があります。特に法人利用では、セキュリティ体制は導入可否を左右する重要な要素です。
ここでは、導入前に必ず確認しておきたいセキュリティの4つのポイントを詳しく解説します。
1. データの暗号化
確認ポイント:
- 通信経路はSSL/TLSなどで暗号化されているか
- 保存されるファイルがAES-256などの方式で暗号化されているか
解説: クラウドストレージでは、データがインターネットを経由してサーバーに送信・保存されるため、第三者による盗聴や改ざんを防ぐための暗号化が不可欠です。特に、保存データが暗号化されていない場合、万が一システムに侵入された場合にデータ内容が流出するリスクがあります。
2. アクセス制御(権限管理)
確認ポイント:
- ファイルやフォルダ単位で閲覧・編集・削除などのアクセス権限を設定できるか
- ユーザーごと、グループごとに柔軟なロール設定が可能か
解説: 社内のユーザーや外部パートナーとクラウドストレージを共有する際には、必要最低限のアクセス権限に絞ることが重要です。管理者は、誰が何をできるのかを明確に定義し、不正な閲覧や誤操作を防ぐ必要があります。
たとえば、「営業部だけが見られる資料」「外注先は閲覧のみ許可」といった細かな設定が可能なサービスを選びましょう。
3. ログ管理・監査機能
確認ポイント:
- ユーザーのファイル操作(閲覧・編集・削除等)のログが自動的に記録されるか
- 管理者がログを確認し、必要に応じてエクスポートできるか
解説: 万が一情報漏えいが発生した場合、どのユーザーが、いつ、どのファイルにアクセスしたのかを特定できなければ原因調査が困難になります。操作ログは、内部統制や監査対応、またインシデント対応の根拠資料として非常に重要です。
大企業や規制業界(金融・医療・法務など)では、ログの保全性や監査対応力が導入要件となることもあります。
4. 多要素認証(MFA)
確認ポイント:
- パスワードに加えて、ワンタイムパスワードやスマホ認証などが使えるか
- 管理者がMFAを全ユーザーに強制できるか
解説: IDとパスワードの情報は、フィッシングや流出によって簡単に第三者の手に渡る可能性があります。MFA(Multi-Factor Authentication)はその対策として、ユーザーが「本人である」ことを二重で確認する仕組みです。
近年の情報漏えい事件の多くは「単一認証の脆弱性」が原因となっており、MFAの導入は企業規模を問わず必須の対策といえます。
クラウドストレージとAI翻訳を連携する「ヤラク翻訳 for Box」
多言語ファイルの翻訳を効率化したい企業向けに、八楽株式会社では、クラウドストレージ「Box」と連携した自動翻訳ソリューション「ヤラク翻訳 for Box」を提供しています。
Boxにファイルをアップロードするだけで、AIが自動で翻訳を実行。社内用語や専門用語にも対応し、翻訳結果はそのままBox上に保存・共有されます。ダウンロードや再アップロードの手間は一切不要です。
主な特徴は以下の通りです。
- セキュアなBox上でAI翻訳を自動実行
外部ツールを経由せず、情報漏えいリスクを抑制します。 - 社内用語の自動反映による高精度翻訳
固有名詞や業界用語にも対応し、実務で使える品質を実現。 - 翻訳済みファイルをそのまま共有可能
ファイルはBox上に保存され、すぐに関係者と共有できます。
対応言語は全36言語。Word、Excel、PowerPoint、PDF、CSVなど、日常業務で扱う主要なファイル形式にも対応しています。
▶ 詳しくはこちら:ヤラク翻訳 for Box サービス紹介
まとめ
クラウドストレージは、もはやデータを保存するだけのツールではありません。チーム内外での情報共有やコラボレーションを促進し、業務効率化や柔軟な働き方を実現する、現代のビジネスに欠かせないインフラのひとつです。
本記事では、クラウドストレージの基本的な仕組みから、そのメリットとデメリット、代表的なサービスの比較、導入時に押さえておきたいセキュリティの観点、そして最新のトレンドや具体的な活用例までを解説してきました。
クラウドストレージの導入をこれから検討している方はもちろん、すでに利用中で見直しを考えている方にとっても、どのような視点でサービスを選ぶべきか、その判断材料として役立てていただけるはずです。
業務内容や組織の課題に応じて、自社に最適なクラウドストレージを選び、より安全で生産的な情報環境を構築していきましょう。
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この記事の執筆者:Yaraku ライティングチーム
翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。
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