英語で書かれた論文を読むことは、研究者や技術者にとって避けて通れない重要な作業です。しかし、専門的な内容ゆえの翻訳の難しさ、PDFのレイアウト崩れ、そして無料ツール利用によるセキュリティリスクなど、多くの課題が立ちはだかります。
本記事では、これら「論文翻訳の3つの壁」を解説し、効率的かつ安全に論文を翻訳するための具体的な方法を紹介します。

この記事の監修者
山田 優(Masaru Yamada)
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士(異文化コミュニケーション学/翻訳通訳学)。フォードモーター社内通訳者、産業翻訳者として活動。その後日本通訳翻訳学会理事と一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事を歴任。 詳しく見る
論文を翻訳する時の3つの課題
研究や技術開発に携わる人たちにとって、世界の最新情報にアクセスするためには論文の解読が必要不可欠ですが、多くの論文は英語で書かれています。それらの論文読解のために時間的制約や言語の障壁により、多くの人が以下のような理由で課題を感じていると思います。
- 専門的な英文の翻訳の難しさ
- PDF論文のレイアウト崩れ
- セキュリティ面
論文翻訳で誰もがぶつかる「3つの壁」とは?
世界の最新情報を得るため、英語論文を読むことは研究者や技術者にとって不可欠です。しかし、翻訳作業には多くの時間と労力がかかり、「こんな課題を感じていませんか?」と問いかけると、多くの方が以下の3つの点で頷かれるのではないでしょうか。
- 専門用語が多くて、正しく訳せているか不安…
- PDFをコピペするとレイアウトが崩れて読みにくい…
- 無料の翻訳サイトは情報漏洩が心配…
この記事では、これらの課題を一つずつ掘り下げ、その原因と具体的な解決策を分かりやすく解説していきます。
【壁①】専門性の壁:なぜ論文翻訳は難しいのか?
英語が得意な方でも、専門分野の論文となると話は別です。その理由は、論文が専門用語や特有の言い回しを多用する、非常に特殊な文書だからです。
一般的な無料翻訳ツールでは、これらの専門用語が持つ微妙なニュアンスを正確に捉えきれず、致命的な誤訳に繋がる可能性があります。かといって、全ての論文を翻訳会社に依頼すれば、高額なコストと長い時間がかかってしまいます。
【壁②】フォーマットの壁:PDFのレイアウト崩れ問題
ここにレイアウト崩れが起きている論文PDFの画像を挿入したい。
多くの論文はPDF形式で配布されています。しかし、PDFのテキストをコピーして翻訳サイトに貼り付けると、意図しない箇所で改行されたり、文章の構造が崩れたりすることが頻繁に起こります。
結果として、翻訳された文章の意味を読み解き、レイアウトを修正するために、本来の研究開発とは関係のない作業に多大な時間を費やすことになってしまいます。
【壁③】セキュリティの壁:無料ツールに潜む情報漏えいリスク
コストがかからない無料翻訳サイトは非常に魅力的ですが、セキュリティ面で大きなリスクを抱えています。
多くの無料ツールでは、サービスの品質向上のために、ユーザーが入力した文章を二次利用することが利用規約で定められています。実際にGoogle翻訳の利用規約にも、アップロードされたコンテンツをGoogleが使用、保存、複製、変更するためのライセンスをユーザーが付与することになると記載されています。
これは、公開前の研究データや企業の機密情報が、意図せず外部に漏えいする可能性があることを意味します。過去には、翻訳サイト経由での情報漏洩の事例も報告されており、研究者や企業にとって決して無視できない課題です。
結局、どの翻訳方法を選ぶべきか?3つの選択肢を徹底比較
ここまで解説してきた3つの壁を乗り越えるため、論文翻訳には主に3つの選択肢があります。
- ① 専門の翻訳会社に依頼する
- ② 無料のオンライン翻訳ツールを利用する
- ③ セキュリティが担保された有料AI翻訳ツールを利用する
それぞれにメリット・デメリットがあるため、以下の比較表で、ご自身の状況(求める品質、予算、納期、セキュリティ要件)と照らし合わせてみてください。
| 比較項目 | ① 翻訳会社 | ② 無料翻訳ツール | ③ 有料AI翻訳ツール(ヤラク翻訳など) |
| 翻訳精度 | ◎ | △ | ◯ |
| (専門用語) | (専門家による高品質な訳文) | (専門用語の誤訳リスクが高い) | (用語集機能で精度向上) |
| PDFの再現性 | ◯ | × | ◎ |
| (レイアウト) | (レイアウトも再現してくれる) | (コピー&ペーストで崩れる) | (ファイルを丸ごと翻訳可能) |
| セキュリティ | ◎ | × | ◎ |
| (情報漏えい) | (契約に基づき守秘義務あり) | (データが二次利用されるリスク) | (二次利用なし) |
| コスト | ×(高額) | ◎(無料) | ◯(定額) |
| スピード | △(時間が必要) | ◎(高速) | ◎(高速) |
【解決策】論文翻訳の「3つの壁」を乗り越える具体的な方法
ここまでは、論文翻訳における「専門性」「フォーマット」「セキュリティ」という3つの大きな課題について解説してきました。
では、これらの課題を解決し、研究や開発のスピードを上げるためには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。ここでは、AI翻訳ツールを賢く活用し、論文読解を効率化するための2つのステップをご紹介します。

①:PDFファイルを丸ごと翻訳できるツールを選ぶ
論文翻訳で最も時間を奪われる作業の一つが、PDFからのコピー&ペーストです。この手間を解消するため、まずはPDFファイルに対応した翻訳ツールを選ぶことが基本となります。
ただし、Google翻訳などの無料ツールでは、たとえPDFファイルに対応していても、下の画像のようにレイアウトが崩れてしまうケースが少なくありません。
そこで重要になるのが、レイアウトを保持したままPDFを翻訳できる機能です。
例えば、AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」では、PDFファイルをドラッグ&ドロップするだけで、元のレイアウトを維持したまま翻訳を開始できます。これにより、一文ずつコピペする手間が不要になり、翻訳作業を劇的に効率化します。
ツールの特性を理解し、最適なものを選ぶ
一口に「PDF対応ツール」と言っても、その機能やセキュリティレベルは様々です。無料ツールがレイアウト崩れを起こしやすい一方で、「ヤラク翻訳」のような有料の法人向けツールは、なぜレイアウトを維持できるのでしょうか。
それは、単にテキストを抽出して翻訳するだけでなく、ファイル全体の構造を解析し、翻訳後のテキストを元のレイアウトに再構築する高度な処理を行っているためです。このように、ツールごとの特性を正しく理解し、自社の目的(品質、効率、セキュリティ)に合ったツールを選ぶことが、論文翻訳を成功させるための重要な鍵となります。

(例文の出典元:新井直樹 (2019) 『インバウンド観光の意義、効果と課題』 奈良県立大学リポジトリ)
また、元のレイアウトを保持したままドキュメントは翻訳されるのと同時に、カーソルを合わせれば、翻訳前の文章(この場合は英文)と翻訳後の文章(日本語)を横並びで確認ができ、比較できるようになっています。
ヤラク翻訳の自動翻訳と自動ファイル処理により、ゼロから翻訳する場合と比べてPDFファイルを一括で翻訳ができ、レイアウト崩れなどの心配がないので、劇的に作業時間を短縮することができます。
翻訳した文書はPDFではなく、Wordファイルで出力できます。PDFのままだとレイアウト崩れが起こった場合に修正に手間がかかりますが、Wordであれば修正が簡単に済みます。
「ヤラク翻訳」が翻訳作業を劇的に効率化する3つの機能
AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」は、PDFからのコピー&ペーストといった非効率な作業をなくし、論文読解の時間を大幅に短縮するための具体的な機能を備えています。
1. レイアウトを維持したままPDFを丸ごと翻訳
PDFファイルをドラッグ&ドロップするだけで、元のレイアウトを維持したまま翻訳を開始できます。これにより、論文翻訳で最も時間のかかるコピー&ペーストの作業そのものが不要になります。
2. 原文と訳文を並べて直感的に比較・修正

(例文の出典元:新井直樹 (2019) 『インバウンド観光の意義、効果と課題』 奈良県立大学リポジトリ)
上の画像のように、翻訳後の画面では原文と訳文が横に並んで表示されます。カーソルを合わせるだけで対応する文章がハイライトされるため、翻訳が正しいかどうかの確認や修正(ポストエディット)が直感的に、かつ素早く行えます。
3. 編集しやすいWordファイル形式で出力
翻訳が完了した文書は、編集が難しいPDFではなく、修正が簡単なWordファイル形式で出力できます。これにより、納品前の最終的な微調整や体裁の統一といった仕上げの作業もスムーズに進めることが可能です。
②:ツールを「育てる」ことで、専門用語の壁を乗り越える
論文翻訳で誰もが直面する「専門性の壁」。一般的な翻訳ツールでは、専門用語や固有名詞を正しく翻訳することが難しいのが現実です。
この課題は、「用語集・フレーズ集」機能を持つAI翻訳ツールを活用し、自社専用にカスタマイズしていくことで解決できます。

AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」では、上の画像のように、特定の専門用語や固有名詞に対して「この言葉は、このように翻訳する」というルールを登録できます。
この「用語集」機能は、使えば使うほどAIがあなたの専門分野の言葉を学習し、まるで専属の翻訳アシスタントのように賢くなっていきます。
【導入事例】ポリゴン・ピクチュアズ様:翻訳作業の分業で、専門チームが本来の業務に集中
実際に「用語集」機能を活用して業務効率化を実現した、CGスタジオの株式会社ポリゴン・ピクチュアズ様の事例をご紹介します。
同社では以前、専門の翻訳チームが日常的なメール翻訳などに時間を取られ、本来集中すべき作品関連の翻訳が後回しになるという課題を抱えていました。
そこで「ヤラク翻訳」を導入し、現場スタッフが「用語集」を活用して一次翻訳を行う体制を構築。簡単な翻訳は現場で完結できるようになり、専門チームはより重要度の高い翻訳作業に集中できる環境が整ったそうです。
③セキュリティについて
翻訳の文書に機密情報や個人情報が含まれる場合には、セキュリティが保証された有料の翻訳ツールを利用することが推奨されます。
ヤラク翻訳のカンパニープランでは、翻訳にかけた文章を二次利用することはありません。これにより、機密性の高い情報や社内の重要な資料などで自動翻訳を利用したい場合でも安心して使用できます。
③:有料ツールで「セキュリティの壁」をクリアする
論文翻訳における最後の、そして最も重要な課題が「セキュリティの壁」です。
公開前の研究データや企業の機密情報が外部に漏えいするリスクは、絶対に避けなければなりません。
この点において、「ヤラク翻訳」のような法人向け有料ツールの利用は必須と言えます。「カンパニープラン」では、入力した文章データが二次利用されることは一切なく、機密情報を扱う論文翻訳でも安心して利用できます。
論文翻訳の課題を解決するために
研究や技術開発に携わる方々にとって、世界の最新情報へのアクセスは重要ですが、英語で書かれた論文の解読は障壁となることがあります。翻訳会社に依頼すれば丁寧な翻訳が得られますが、コストや時間の制約があります。一方、無料翻訳ツールは大量の文章を一気に翻訳できますが、精度や文脈の理解に課題があります。
・コスト
・翻訳精度
・PDFのレイアウト
・セキュリティ
といった課題をクリアすることが、、論文の翻訳には必須です。。
ヤラク翻訳は企業でのビジネスユースはもちろんのこと、大学にも導入いただいてます。直近では国立大学法人 東北大学での導入実績があります。
詳細はこちらを参照ください。
(参照:AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」、 国際卓越研究大学の認定候補である東北大学が導入)
結論:論文翻訳の4つの課題を解決し、研究を加速させるために
世界の最新情報にアクセスし、研究開発を前進させる上で、英語論文の読解は避けて通れません。しかし、多くの研究者・技術者が翻訳作業において、コスト、翻訳精度、PDFのレイアウト、そしてセキュリティという4つの大きな壁に直面しています。
- コスト:翻訳会社への依頼は高品質ですが、高コストで時間もかかります。
- 翻訳精度:無料ツールは手軽ですが、専門用語の誤訳リスクが常に付きまといます。
- PDFのレイアウト:コピー&ペーストによるレイアウト崩れは、修正に多大な時間を奪います。
- セキュリティ:無料ツールの利用は、未公開の研究データや機密情報の漏えいに繋がる危険性があります。
これらの課題をすべてクリアし、本来集中すべき研究開発に時間を使うための解決策が、AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」です。
大学や研究機関でも導入される信頼性
「ヤラク翻訳」は、多くの企業だけでなく、国立大学法人 東北大学をはじめとする教育・研究機関でも導入されています。
これは、「ヤラク翻訳」がビジネスレベルのセキュリティ基準を満たし、かつ高度な専門性が求められる学術分野でも通用する翻訳精度を提供していることの証明です。
研究論文の翻訳という、まさに「知の最前線」で戦うあなたにとって、「ヤラク翻訳」は最も信頼でき、かつ効率的なパートナーとなるでしょう。
ChatGPTで論文を高品質に翻訳

また、ヤラク翻訳は、生成AIのChatGPTを翻訳エンジンとして標準搭載しています(カンパ二ープラン)。LLM(大規模言語モデル)ならではの流暢性を活かすため、より高品質な翻訳結果を期待できます。ヤラク翻訳では、翻訳したい文書に合わせて分野やドキュメントタイプを選択するだけで、高品質な翻訳を開始します。
翻訳研究の専門家(本記事の監修者を参照)が実用的に有益なプロンプトをあらかじめ準備して利用できるようにしているため、ユーザーはプロンプトを入力する手間がかからず、誰でも簡単につかいこなすことができます。
効率的に論文を読むためにも、ヤラク翻訳は利便性が高いです。
ChatGPTを活用し、さらに高品質な翻訳を
AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」は、翻訳エンジンの一つとして生成AIの「ChatGPT」を標準搭載しています(カンパニープラン)。
これにより、大規模言語モデル(LLM)ならではの流暢で自然な訳文を得ることができ、論文翻訳の品質をさらに一段階引き上げることが可能です。

一般的なChatGPTの利用では、精度の高い翻訳結果を得るために「プロンプト」と呼ばれる専門的な指示をユーザー自身が入力する必要があります。
しかし「ヤラク翻訳」では、上の画像のように「学術レベル」「分野」「ドキュメント種別」などを選択するだけで、最適なプロンプトが自動的に適用される仕組みになっています。
参考文献
- 新井直樹. (2019). インバウンド観光の意義、効果と課題. 奈良県立大学研究季報, 巻 30, 号 1, p. 1-34. Retrieved 2025年8月4日, from https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000162520
- Google. (n.d.). 本サービス内のユーザーのコンテンツ│Google 利用規約. Retrieved 2025年8月4日, from https://policies.google.com/terms?hl=ja
- Yaraku株式会社. (2024). 自動翻訳の活用により、映像制作関連の通・翻訳業務を効率化【株式会社ポリゴン・ピクチュアズ様】. Retrieved 2025年8月4日, from https://www.yaraku.com/?s=%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%B4%E3%83%B3
Yaraku株式会社. (2025). AI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」、国際卓越研究大学の認定候補である東北大学が導入. Retrieved 2025年8月4日, from https://www.yaraku.com/news/ai%e7%bf%bb%e8%a8%b3%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%80%8c%e3%83%a4%e3%83%a9%e3%82%af%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%80%8d%e3%80%81-%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%8d%93/a9%e3%82%af%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%80%8d%e3%80%81-%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%8d%93/
この記事の執筆者
Yaraku ライティングチーム
翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。
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