論文を翻訳する時の3つの課題
研究や技術開発に携わる人たちにとって、世界の最新情報にアクセスするためには論文の解読が必要不可欠ですが、多くの論文は英語で書かれています。それらの論文読解のために時間的制約や言語の障壁により、多くの人が以下のような理由で課題を感じていると思います。
- 専門的な英文の翻訳の難しさ
- PDF論文のレイアウト崩れ
- セキュリティ面
専門的な英文を翻訳の難しさ
英語が堪能な人でも、論文は専門用語や知識が必要で、一般的な文章よりも難易度が高く、時間がかかります。すべての論文を英語で読むと疲れてしまうことはないでしょうか。
もちろん翻訳会社に依頼すれば、丁寧で正確な翻訳が得られるかもしれませんが、その分コストもかかり、大量の論文を翻訳するには時間がかかりすぎる可能性があります。
一方、無料翻訳ツールを使えば大量の文章を一気に翻訳できますが、翻訳の精度や文脈の理解に課題が生じることがあります。学術論文は一般的な文書とは異なり、専門用語や固有名詞が多く含まれています。一般的な翻訳ツールではこれらの表現を適切に翻訳することが難しく、翻訳ミスが生じる可能性が高いです。
PDF論文のレイアウト崩れ
論文は多くの場合はPDFで作成されています。PDFの論文を翻訳する際に、まずGoogle翻訳などの無料翻訳ツールを利用する方が多いでしょう。
一般的に、多くの論文はPDF形式で提供されているため、PDF形式のファイルに対応していない翻訳ツールを使う場合、文章を一文一文コピー&ペーストして翻訳する人も多いでしょう。しかし、この方法では文章のレイアウトが崩れ、変なところで改行が入ったり意味不明な訳文になったりすることがあります。
そのため、最終的には修正や編集が必要となり、時間と労力を要する作業となります。
セキュリティ面
翻訳サイトは無料と有料のセキュリティの違いがあります。無料サイトでは翻訳品質向上のために入力文章が二次利用されることがあり、機密情報や個人情報も利用される可能性があります。実際過去に、翻訳ツールに入力した情報内容が第三者に公開されたという事例もあります。(参照:翻訳サイト経由で情報漏洩、「利用禁止」だけでは解決しない)
また、Google翻訳は翻訳した内容についてはセキュリティの保証がされていません。Googleで検索やアップロードした内容等はGoogleがサービス改善のために利用できる、という内容がGoogleの規約には書かれています。
ユーザーがコンテンツをアップロード、提供、保存、送信、または受信すると、ユーザーは Google(および Google と協働する第三者)に対して、そのコンテンツについて、使用、ホスト、保存、複製、変更、派生物の作成(たとえば、Google が行う翻訳、変換、または、ユーザーのコンテンツが本サービスにおいてよりよく機能するような変更により生じる派生物などの作成)、(公衆)送信、出版、公演、上映、(公開)表示、および配布を行うための全世界的なライセンスを付与することになります。
【解決策】論文を効率的に翻訳する方法
ここではさきほど挙げた3つの課題を解決する方法として、論文を翻訳する際の注意点や翻訳ツールを活用した効率的な読み方法をご紹介します。
①PDFファイルをまるごと翻訳できる翻訳ツールを使う
まず翻訳ツールの中でも、PDFの翻訳ができるツールを使うことをおすすめします。ただし、Google翻訳などの無料ツールでも、残念ながらレイアウトの崩れが起こることがあります。Google翻訳に限らず、レイアウトが崩れる程度は使用するツールやファイルによって異なります。
そこで、PDFファイルを丸ごと翻訳できるAI自動翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」では、PDF論文をどのように翻訳できるのかご紹介します。
ヤラク翻訳はPDF形式ファイルの翻訳に対応しているので、ファイルのドラッグアンドドロップでそのまま翻訳ができます。よって、一文一文の翻訳作業が不要となります。
翻訳したいファイルをドロップして言語を選択すると、自動翻訳が始まります。ヤラク翻訳は一文ずつ解析して最適な翻訳文を生成し、自動翻訳後にテキストを編集することができます。
(例文の出典元:新井直樹 (2019) 『インバウンド観光の意義、効果と課題』 奈良県立大学リポジトリ)
また、元のレイアウトを保持したままドキュメントは翻訳されるのと同時に、カーソルを合わせれば、翻訳前の文章(この場合は英文)と翻訳後の文章(日本語)を横並びで確認ができ、比較できるようになっています。
ヤラク翻訳の自動翻訳と自動ファイル処理により、ゼロから翻訳する場合と比べてPDFファイルを一括で翻訳ができ、レイアウト崩れなどの心配がないので、劇的に作業時間を短縮することができます。
翻訳した文書はPDFではなく、Wordファイルで出力できます。PDFのままだとレイアウト崩れが起こった場合に修正に手間がかかりますが、Wordであれば修正が簡単に済みます。
②使えば使うほど翻訳の精度が向上:用語集・フレーズ集の活用
(例文の出典元:新井直樹 (2019) 『インバウンド観光の意義、効果と課題』 奈良県立大学リポジトリ)
ヤラク翻訳では、用語やフレーズを登録して翻訳精度を向上させる機能があります。
特定の用語やフレーズが出てきた時には、上記のように用語集へ追加するか、事前に指定した翻訳を自動で適用することができます。特に専門分野や特許関連の文章では、一般的な自動翻訳では適切な翻訳が困難な場合がありますが、ヤラク翻訳では用語集・フレーズ集に登録することで、専門用語や固有名詞に対する正確な翻訳が可能になります。
用語集やフレーズ集の活用により業務効率化に繋げた、動画制作・開発を行う株式会社ポリゴン・ピクチュアズ様の事例をご紹介します。
同社は圧倒的なクオリティでCG業界を牽引する老舗CGスタジオです。ハリウッドやアジア圏の協力スタジオ、社内の外国人クリエイターとの円滑なコミュニケーションを重視していますが、以前はトランスレーショングループが情報収集のための資料の翻訳や、社内コミュニケーションのためのメールの翻訳作業に多くの時間を費やしていました。このため、本来優先すべき作品に関わる翻訳や機密文書の対応が遅れる課題が生じていました。
ヤラク翻訳を導入後、現場スタッフが準備した用語集やフレーズ集を利用することで、簡単なメールのやりとりなどは自己翻訳・理解が可能となりました。これにより、トランスレーショングループは作品の内容や重要な翻訳作業に集中できるようになりました。
詳細は下記の記事をご覧ください。
自動翻訳の活用により、映像制作関連の通・翻訳業務を効率化
【株式会社ポリゴン・ピクチュアズ様】
③セキュリティについて
翻訳の文書に機密情報や個人情報が含まれる場合には、セキュリティが保証された有料の翻訳ツールを利用することが推奨されます。
ヤラク翻訳のカンパニープランでは、翻訳にかけた文章を二次利用することはありません。これにより、機密性の高い情報や社内の重要な資料などで自動翻訳を利用したい場合でも安心して使用できます。
論文翻訳の課題を解決するために
研究や技術開発に携わる方々にとって、世界の最新情報へのアクセスは重要ですが、英語で書かれた論文の解読は障壁となることがあります。翻訳会社に依頼すれば丁寧な翻訳が得られますが、コストや時間の制約があります。一方、無料翻訳ツールは大量の文章を一気に翻訳できますが、精度や文脈の理解に課題があります。
・コスト
・翻訳精度
・PDFのレイアウト
・セキュリティ
といった課題をクリアすることが、、論文の翻訳には必須です。。
ヤラク翻訳は企業でのビジネスユースはもちろんのこと、大学にも導入いただいてます。直近では国立大学法人 東北大学での導入実績があります。
詳細はこちらを参照ください。
(参照:AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」、 国際卓越研究大学の認定候補である東北大学が導入)
ChatGPTで論文を高品質に翻訳
また、ヤラク翻訳は、生成AIのChatGPTを翻訳エンジンとして標準搭載しています(カンパ二ープラン)。LLM(大規模言語モデル)ならではの流暢性を活かすため、より高品質な翻訳結果を期待できます。ヤラク翻訳では、翻訳したい文書に合わせて分野やドキュメントタイプを選択するだけで、高品質な翻訳を開始します。
翻訳研究の専門家(本記事の監修者を参照)が実用的に有益なプロンプトをあらかじめ準備して利用できるようにしているため、ユーザーはプロンプトを入力する手間がかからず、誰でも簡単につかいこなすことができます。
効率的に論文を読むためにも、ヤラク翻訳は利便性が高いです。
参考文献
- 新井直樹. (2019). インバウンド観光の意義、効果と課題. 奈良県立大学研究季報, 巻 30, 号 1, p. 1-34. Retrieved 2025年8月4日, from https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000162520
- Google. (n.d.). 本サービス内のユーザーのコンテンツ│Google 利用規約. Retrieved 2025年8月4日, from https://policies.google.com/terms?hl=ja
- Yaraku株式会社. (2024). 自動翻訳の活用により、映像制作関連の通・翻訳業務を効率化【株式会社ポリゴン・ピクチュアズ様】. Retrieved 2025年8月4日, from https://www.yaraku.com/?s=%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%B4%E3%83%B3
Yaraku株式会社. (2025). AI翻訳プラットフォーム「ヤラクゼン」、国際卓越研究大学の認定候補である東北大学が導入. Retrieved 2025年8月4日, from https://www.yaraku.com/news/ai%e7%bf%bb%e8%a8%b3%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%83%e3%83%88%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%83%a0%e3%80%8c%e3%83%a4%e3%83%a9%e3%82%af%e3%82%bc%e3%83%b3%e3%80%8d%e3%80%81-%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e5%8d%93/
記事の監修者について
氏名
山田 優(Masaru Yamada)
現職
立教大学 異文化コミュニケーション学部/研究科 教授
学位
博士(異文化コミュニケーション研究科・立教大学大学院/2012年3月)
修士(TESOL/言語学・ウエストバージニア大学/1999年5月)
経歴
フォードモーター社 社内通訳翻訳者
IT系ローカリゼーション プロジェクトマネジャー
産業翻訳者・コンサルタントとして独立
関西大学 外国語学部 教授(2017–2021)
立教大学 教授(2021年4月–現在)
研究分野
Empirical Translation Process Research(Empirical TPR)
翻訳テクノロジー論(CATツール・MTPE・LLMs・GenAI)
機械翻訳の外国語教育応用(TILT/MTILT)
役職・社会貢献
株式会社翻訳ラボ 代表
八楽株式会社 チーフ・エバンジェリスト
オンラインサロン「翻訳カフェ」主宰
日本通訳翻訳学会(JAITS)理事 歴任
一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事歴任
主な著書
『ChatGPT英語学習術:新AI時代の超独学スキルブック』(単著/アルク)
『ChatGPT翻訳術:新AI時代の超英語スキルブック』(単著/アルク)
『英語教育と機械翻訳』(監修/金星堂)
『自動翻訳大全』(共著/三才ブックス)『Metalanguages for Dissecting Translation Processes』(共編/Routledge)
この記事の執筆者
Yaraku ライティングチーム
翻訳者や自動翻訳研究者、マーケターなどの多種多様な専門分野を持つライターで構成されています。各自の得意分野を「翻訳」のテーマの中に混ぜ合わせ、有益な情報発信に努めています。
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