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公開日: 2025/03/18 | 更新日: 2025/12/03

HTMLファイルの翻訳方法と注意点を詳しく解説

HTML 翻訳

HTMLファイルを自動翻訳にかけたくても、

  • レイアウトが崩れる
  • HTMLタグまで翻訳されてしまう

ということが気になる方は多いのではないでしょうか。Webサイトを多言語化するときは基本的にHTMLが反映されたページの言語を他の言語に翻訳する、という手順で行われます。

しかし、HTMLファイルのまま多言語に翻訳しなければならないケースもあります。例えば10や20もの外国語に対応する場合、サイトの編集ページ上で他の言語を入力するのではなく、HTMLファイルの段階で多言語化しておくと各言語のページ構築は素早く済みます。

本記事ではHTMLファイルを翻訳できる自動翻訳を紹介し、その手順と注意点を解説します。また、HTMLファイルは翻訳後にレイアウトが崩れたり、タグが翻訳されてしまったりと問題も多く発生するため、その解決方法もお伝えします。

山田先生

この記事の監修者

山田 優Masaru Yamada

立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士(異文化コミュニケーション学/翻訳通訳学)。フォードモーター社内通訳者、産業翻訳者として活動。その後日本通訳翻訳学会理事と一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)理事を歴任。 詳しく見る

HTMLファイル翻訳の課題

HTMLファイル翻訳の課題

HTMLは見出しや段落、画像、リンクなどがどのように配置されるかを決めるものです。HTMLは基本的に「<div>」「class」など表記が決まっており、それを含んだファイルを多言語する場合に、以下のような課題があります。

  1. 構文崩れのリスク
    テキストを手動で翻訳してファイルに貼り付ける際に、タグの位置がズレたり、不要なタグが入り込むとページが正しく表示されなくなるリスクがあります。
  2. 時間と手間がかかる
    大量のテキストを手作業で翻訳すると、翻訳工程はもちろんファイル編集にも多くの時間とコストがかかります。
  3. 誤訳・訳抜けのリスク
    たとえ翻訳ソフトを併用していても、複数のファイルにわたるテキストを一括管理できない場合、訳抜けや誤訳を見逃してしまう可能性があります。

HTML内に記載してある日本語を一つ一つ手作業で訳していくのは非常に手間がかかります。そこでHTMLに対応している自動翻訳を活用することで、HTML構文を崩すことなく迅速に翻訳を進められます。

またポストエディット(翻訳後の文をチェック・編集すること)がしやすいツールを使うことで、翻訳文の修正にも効率的に対応できます。

特殊文字の扱いに注意が必要

  • 「&amp;」
  • 「&lt;」
  • 「&gt;」

などのエンティティが自動翻訳エンジンによって別の文字として認識されないよう注意が必要です(MDN[2]/WHATWG[3])。そのためにも用語集を活用してその文字列を固定にしておくなどの工夫が必要です。

自動翻訳後は特にこれらの文字列を原文と翻訳文でチェックし、誤訳がないかを確認しましょう。

ブラウザの翻訳機能はあくまでも閲覧用

ブラウザに搭載されているページの翻訳やプラグインを使って自動翻訳できる機能があります。たとえば、Google ChromeやMicrosoft Edgeに搭載されている自動翻訳機能を使えば、ページ全体をワンクリックで翻訳可能です。

ただし、ブラウザの翻訳はあくまでも「閲覧用」であり、HTMLファイルそのものを修正・ダウンロードできるわけではありません(Google ヘルプ[4]、Microsoft サポート[5])。ブラウザで翻訳したページの翻訳版をHTMLファイルとして利用することはできません。多言語のHTMLファイルを作るには、その言語専用のファイルを用意し、ファイルの内容を丸ごと翻訳する必要があります。

一方で、「無料ツールへの手作業でのコピペで十分」という現実的な声

ここまでHTML翻訳の課題を解説してきましたが、多くのサイト担当者、特に小規模なサイトを運営している方々にとっては、「わざわざ専門のツールを使わなくても、テキスト部分だけを慎重にコピー&ペーストすれば、無料ツールで十分対応できる」と感じるかもしれません。

「翻訳するページ数が少ないので、手作業でもそれほど時間はかからない」 「コストをかけるくらいなら、タグを壊さないように細心の注意を払って自分で作業する」

このように、翻訳の規模が小さく、コストを最優先する場合においては、無料ツールと手作業を組み合わせるという判断も、一つの現実的な選択肢と言えるでしょう。

では、どのような場合に、こうした手作業での対応から一歩進んで、より高度なソリューションを検討すべきなのでしょうか。

それは、Webサイトの多言語展開を本格的に進めるにあたり、ヒューマンエラーによるサイト崩壊のリスクを根本から無くしたい場合や、数十、数百ページにのぼる翻訳作業の生産性を最大化したいと本気で考え始めた時です。

以降では、そうした企業の課題を解決するための具体的な選択肢として、AI翻訳プラットフォーム「ヤラク翻訳」をご紹介します。

HTMLファイルの翻訳とポストエディットが可能な自動翻訳

HTMLに対応している自動翻訳を活用することで、タグや構文を保持したままHTML構文を崩すことなく翻訳を進められます(MDN[1])。さらに、要翻訳/非翻訳を要素単位で明示できる translate=”no” などの属性も有効です(MDN[7])。加えて、翻訳後のポストエディット(人手での確認・修正)を前提にした運用にしておくと、訳抜け・誤訳の低減につながります(JTF[6])。

進化型CATツール(翻訳支援ツール)のヤラクゼンは、Webブラウザ上で動作するクラウド型の自動翻訳です。テキスト、Wordファイル、PDFなど、さまざまな形式のファイルを翻訳できるのが特徴で、HTMLファイルにも対応しています。

また自動翻訳だけでなく、ポストエディットにも対応しているため誤訳や訳抜けがある箇所はその場で編集・修正することができます。

  • 翻訳後のプレビューを見ながらポストエディット可能
    ヤラクゼンでは、HTMLファイルを翻訳にかけると翻訳結果のプレビュー画面が表示されます。これによりどのようなレイアウトになっているのかを確認しながらポストエディットすることができます。
  • <div>タグなどを誤って編集することはない
    <div>や<p>、<h2>などのタグはプレビュー画面にも並列ビュー(原文と翻訳文が記載されている個所)にも表示されないため、誤って編集してしまうことを防げます。

HTMLファイルの翻訳結果プレビュー

  • 翻訳後のレイアウトを保持
    HTMLファイルの場合は構文やタグ情報を可能な限り保持しながらテキストだけを翻訳してくれるため、翻訳後にタグが崩れてしまうリスクを低減できます。
  • 複数言語への展開
    日本語から英語への翻訳はもちろん、英語から多言語(スペイン語、フランス語など)への展開も可能です。今後グローバルにサイトを運営したい場合も全36言語で翻訳可能です。(2025年3月時点)

ヤラクゼンを使ったHTMLファイルの翻訳方法

ここからは、ヤラクゼンを使ってHTMLファイルを翻訳する具体的な手順を紹介します。なお、実際の画面・機能はアップデートなどによって変わる場合があります。

アカウントの作成
ヤラクゼンを利用するためには、まずアカウント登録が必要です。アカウントを作成し、公式サイトにログインします。

言語・翻訳エンジンの選択
ログイン後は、ファイルをドラッグ&ドロップするか、「アップロード」のボタンをクリックしてファイルを選択し、翻訳元・翻訳先の言語を指定します。


HTMLファイルをアップロード
HTMLファイルをアップロードします。

自動翻訳を実行
アップロードすると自動翻訳が実行されます。翻訳が終わると、元のHTMLの構造が保持された状態でプレビュー画面に表示されます。翻訳速度はファイルの容量やページ数にもよりますが、比較的スムーズに翻訳結果が出ます。

翻訳結果のポストエディット
ここで重要なのが「ポストエディット」(翻訳結果の確認と修正)です。自動翻訳の結果をそのまま使うと、誤訳や文脈に合わない訳が残る可能性があるため、必ず翻訳後の文章をチェックして必要に応じて修正を加えましょう。ラッグ&ドロップするか、「アップロード」のボタンをクリックしてファイルを選択し、翻訳元・翻訳先の言語を指定します。


翻訳結果のダウンロード
ポストエディットを経て翻訳が確定したら、翻訳済みのHTMLファイルをダウンロードします。もちろんHTMLファイルのままダウンロード可能です。他の言語にも対応する場合は同様の手順を繰り返します。

 

翻訳品質を上げる用語集・フレーズ集

​ヤラクゼンは、翻訳品質を高めるために「用語集」と「フレーズ集」の機能を提供しています。

​用語集は、人名や会社名などの固有名詞、業界用語、専門用語などの単語リストであり、翻訳時にこれらの用語が指定した訳語で一貫して翻訳されるよう設定できます。 ​

フレーズ集は、文ごとに保存・活用するデータベースで、頻繁に使用される特定のフレーズを登録しておくことで、翻訳時に統一された表現を適用できます。

これらの機能を活用することで、翻訳文のブレを抑え、社内用語や業界特有の表現を統一することが可能となります。​さらに、ヤラクゼンは使えば使うほどユーザーごとに学習していく翻訳システムであり、フレーズ集や用語集をベースに自動翻訳され、その後の編集内容を蓄積して次の翻訳に活用します。 ​

このように、ヤラクゼンの用語集・フレーズ集機能を効果的に利用することで、翻訳の品質と効率を向上させることができます。

ポストエディット(翻訳文の確認と修正)の重要性

自動翻訳がいくら進化しても、機械が文脈や文化的背景を理解するには限界があります。そこで、ポストエディットが非常に重要となります。

  • 誤訳や不自然な表現の修正
    自動翻訳は語順や文法において精度を増していますが、それでも誤訳やぎこちない言い回しが混在する場合があります。特に、専門用語や技術用語が多い文書では、人間の目で確認することが必要です。
  • ブランドイメージの保持
    ウェブサイト上の文章は、企業やブランドのイメージに大きく影響します。誤訳や乱暴な表現が含まれていると、ユーザーに不信感を与える恐れがあります。丁寧なポストエディットは、信頼性の高いコンテンツを提供する上で欠かせませんブランド文脈やSEO(見出し階層・セマンティックHTML)を損なわないことも重要です(MDN[8])。
  • 検索エンジン最適化(SEO)の観点
    翻訳後のテキストがSEOで狙いたいキーワードを適切に反映しているかは、人間が最終的に確認する必要があります。特にHTMLタグ(<div>や<p>など)が自動翻訳を経ることで崩れてしまっていないかをチェックしましょう。

ポストエディットについての詳細は以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
https://www.yarakuzen.com/news/postedit-key-points

まとめ

HTMLファイルの翻訳は、単にウェブページを丸ごと翻訳するだけでなく、ページ内の特定部分を翻訳させるかどうかを適切にコントロールし、さらに翻訳後の文章をしっかりとポストエディットして品質を高めることが重要です。初心者の方でも、下記のようなステップを踏めば、十分に多言語対応のウェブサイトを実現できます。

  • 翻訳時のレイアウト崩れに注意
  • ポストエディットが重要
  • 用語集・フレーズ集で翻訳品質を高められる

グローバル化が進む中、ウェブサイトの情報発信も、言語の壁を越えてより多くの人に届けることが求められるようになっています。自動翻訳ツールは日々進化していますが、まだ完全に正確な訳を提供できるわけではありません。そのため、最終的なチェックは人の手で行うことが重要です。

本記事で紹介した方法を参考に、HTML翻訳を活用して多言語対応を進めてみてください。適切に対応することで、検索エンジンからの評価が向上し、新しいユーザーの獲得やビジネスの拡大につながる可能性があります。

 

参考文献

[1] MDN Web Docs. 「HTML 要素リファレンス」. 2025年10月30日取得, https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Reference/Elements 

[2] MDN Web Docs. “Entity — Glossary”. 2025年10月30日取得, https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Glossary/Entity 

[3] WHATWG. “HTML Living Standard — Named character references”. 2025年10月30日取得, https://html.spec.whatwg.org/multipage/named-characters.html

[4] Google Help. “Translate pages and change Chrome languages”. 2025年10月30日取得, https://support.google.com/chrome/answer/173424

[5] Microsoft サポート. 「Microsoft Edgeブラウザで Microsoft Translator を使用する」. 2025年10月30日取得, https://support.microsoft.com/ja-jp/topic/microsoft-edge-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%81%A7-microsoft-translator-%E3%82%92%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%99%E3%82%8B-4ad1c6cb-01a4-4227-be9d-a81e127fcb0b


[6] 日本翻訳連盟(JTF). 「翻訳品質評価ガイドライン」. 2025年10月30日取得, https://www.jtf.jp/tips/translation_quality_guidelines

[7] MDN Web Docs. 「translate グローバル属性」. 2025年10月30日取得, https://developer.mozilla.org/ja/docs/Web/HTML/Reference/Global_attributes/translate 

[8] MDN Web Docs. “Semantic HTML (curriculum)”. 2025年10月30日取得, https://developer.mozilla.org/en-US/curriculum/core/semantic-html/


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